2019年1月15日(火)
主張
米製兵器“爆買い”
異常な言いなり、浪費をやめよ
安倍晋三政権が昨年12月、新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を決定し、今後5年間で27兆4700億円にも上る大軍拡に乗り出そうとしています。安保法制=戦争法の下、「専守防衛」を建前にしてきた自衛隊を「海外で戦争する軍隊」へと変貌させる重大な企てです。同時に、トランプ大統領言いなりに米国製兵器の「浪費的爆買い」を進めようとしていることは異常という他ありません。大軍拡計画に反対する世論と運動を広げる時です。
F35を100機以上導入
防衛省は8日、昨年12月18日に閣議決定された新「中期防衛力整備計画」(2019~23年度、新中期防)に盛り込んだ主要兵器の単価を明らかにしました。
それによると、主な米国製兵器では▽新中期防で27機を取得する計画のステルス戦闘機F35Aは1機約116億円▽4機取得のKC46A空中給油機は1機約249億円▽9機取得のE2D早期警戒機は1機約262億円▽1機取得の無人偵察機グローバルホークは約173億円―となっています。
2基を整備する弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は1基約1224億円に上ります。「超高額」兵器ばかりです。
F35については、防衛省が現中期防(14~18年度)や新中期防、さらにその先の取得を含め、計147機体制(うち短距離離陸・垂直着陸機のF35Bを42機)にすることを決めています。「F35を100機以上も買って、いったい何をするのか。目的が全く見えない」(元航空自衛隊幹部)と指摘され、まさに浪費そのものです。
米国からの大量の兵器購入については、日米同盟推進の立場の元自衛隊幹部からも問題を指摘する声が公然と上がっています。
元陸将の山下裕貴氏は、「トランプの言いなりで兵器を買うな」と題した月刊誌のインタビュー記事で「日本に高価な防衛装備品をどんどん買わせようというのが(トランプ)政権の意図」と指摘し、「貿易摩擦が起きるたびにアメリカから兵器を購入していたら、安全保障上の自主性が失われてしまう可能性もあります」と述べています(『文芸春秋』1月号)。
元陸将の用田(もちだ)和仁氏も論文で「米国のご機嫌を取る為、高額の装備品を購入することが日米同盟だと思っているならば、いつか見下され、国内産業は衰退し、米国の国益の考え方の変化によっては、日米同盟は終わるだろう」と述べています(「日本安全保障戦略研究所」ホームページ)。
安倍政権の米国製兵器の「爆買い」方針の下、米政府から兵器を購入する「有償軍事援助(FMS)」は急速に拡大しています。安倍首相が政権に復帰した直後の13年度予算で1179億円だったFMSは、19年度予算案で7013億円と約6倍に膨れ上がっています。
「米国の言い値で売れる」
FMSは「日本側からその積算根拠を見せてほしいといっても、アメリカ政府はなかなか出しません。要するに言い値で売れる」「アメリカにすればメリットは非常に大きい」(前掲の山下氏)というものです。
米国言いなりの大軍拡計画を中止させ、国民の税金を福祉・暮らしの充実に優先して回すことを求める幅広い運動を大きく起こすことが求められます。