2019年1月23日(水)
勤労統計偽装
組織的隠ぺい 認めず
監察委報告書 真相究明 疑問山積
厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正・偽装問題で、弁護士や有識者らでつくる特別監察委員会は22日、報告書をとりまとめました。2004年に、東京都分で本来、全数調査すべきものを抽出調査としてきた問題などについて、「漫然と業務が続けられ(た)」と指摘したものの、政策統括官が全数調査をしていないことを、遅くとも2017年冬に把握した時点で公表しなかった理由などについては書かれておらず、真相究明にはいまだ多くの疑問を残す内容です。
報告を受けて会見した根本匠厚労相は、自らを含めて減給などの処分を発表。報告書をふまえ、「厚労省としては組織的な隠ぺいはなかったと考えている」と述べました。
報告書は、04年に抽出調査に変更された経緯について、「都道府県からの要望に配慮する必要があった」と指摘。抽出調査で本来すべき「復元」の作業が行われなかったことについては、担当者の「連携ミス」としました。17年冬に、東京都分で全数調査が行われていないとの報告を受けた政策統括官が、修正を指示したものの、その後は担当室長に処理を委ね、放置したとしました。
監察委員会の樋口美雄委員長(労働政策研究・研修機構理事長)は会見で、隠ぺいの組織的な関与にかかわって、「その意図は認められなかった」と否定。17年に政策統括官が事態を把握しながら公表しなかった理由を問われたものの、「供述で得られたものは書いてある」と述べました。
毎勤統計をめぐっては、昨年6月分の確報値で、現金給与総額が前年同月比で3・3%と高い上昇率を示す一方、従来の調査方法に近いやり方で示された「参考値」で1・3%となっています。統計の信頼が失われているもとで、10月からの消費税増税を判断する根拠がゆらいでいます。