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2019年1月28日(月)

主張

米ミサイル防衛

不毛な宇宙軍拡に加担するな

 トランプ米政権がこのほど、「ミサイル防衛」の指針となる戦略文書「ミサイル防衛見直し(MDR)」を公表しました。弾道ミサイルに限らず、ロシアや中国が開発を続ける新型巡航ミサイルや、音速の5倍(マッハ5)以上で飛ぶ極超音速(ハイパーソニック)兵器に対抗するため、宇宙空間に高性能センサーや迎撃システムを配備する構想を打ち出したのが大きな特徴です。同時に、日本をはじめ同盟国や友好国に「ミサイル防衛」での役割拡大や負担増を強く求めています。トランプ政権言いなりに、日本が宇宙での軍拡競争に加担することは許されません。

「とてつもなく高額」

 MDRは、トランプ大統領が今月17日、米国防総省での演説で明らかにしました。トランプ氏が「われわれは宇宙が新たな戦闘領域だと理解する」と述べたように、宇宙空間を新たな戦場として重視し、本格的な軍拡に乗り出そうという極めて危険な計画です。

 それによると、地上レーダーでは難しい極超音速ミサイルなどの探知・追尾を可能にするため、宇宙空間にセンサーを配備し、やはり宇宙配備の迎撃システムを使って発射直後のブースト(上昇)段階で破壊する研究を進めます。

 1980年代にレーガン政権がソ連の核ミサイルに対抗するため提唱し、同国の崩壊で立ち消えた「スターウォーズ計画」=戦略防衛構想(SDI)を思い起こさせます。米国内で既に「宇宙配備の迎撃システムは何度も研究され、技術的に難しく、法外に高額なことが分かっている」(米下院軍事委員会のスミス委員長)と懸念の声が上がっているのは当然です。

 加えて、MDRが「ミサイル防衛」への「包括的アプローチ」として、敵のミサイルを発射前に無力化する「攻撃作戦」を挙げ、先制的な敵基地攻撃に道を開いているのも重大です。

 トランプ氏は演説で「われわれは多くの金持ちの国々を守っている。彼らはわれわれが守っている費用をたやすく支払うことができる」と述べ、「同盟国の公平な負担」を強く要求しました。MDRも「同盟国と友好国との間の責任分担を拡大する」とし、とりわけ「日本は最も強力なミサイル防衛パートナーの一国だ」と強調していることは看過できません。

 安倍晋三政権は既に、1基1224億円にも上る地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基を導入することを決めています。MDRは、日本が147機の調達を計画している最新鋭ステルス戦闘機F35について、将来、敵のミサイルをブースト段階で撃ち落とす迎撃兵器を搭載する構想も盛り込んでいます。

 超高額な米国製兵器の“爆買い”に走る安倍政権に対し、トランプ政権がさらなる「ミサイル防衛」システムの導入圧力を強めてくるのは明らかです。

「人類滅亡の道」阻止を

 MDRをめぐり、日本のメディアも「宇宙空間にまで広がる野放図な軍拡競争は、人類を滅亡の道へと導きかねない」(「東京」22日付)、「米露中の三つどもえで軍拡のチキンレースへ突き進むのは愚か」(「毎日」19日付)と警鐘を鳴らしています。不毛な宇宙軍拡にストップをかけるためにも、トランプ政権に追従する安倍政権を退陣に追い込むことが必要です。


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