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2019年1月28日(月)

韓国スポーツ界 “#MeToo”次つぎ

真相究明へ政府が独立機関

 韓国のスポーツ界で、指導者による女子選手への性暴力の告発が続いています。政府は25日、独立機関を設置し、真相究明や再発防止を進めると発表。加害者への厳重な処罰や、スポーツ界そのものの改革も進める方針を打ち出しました。

背中押され

 韓国での“#MeToo(私も被害者だ)”運動に背中を押され、選手たちが重い口を開き始めました。1月初旬、オリンピック2大会連続で金メダルを獲得しているスピードスケート・ショートトラック韓国代表の沈錫希(シム・ソクヒ)選手(24)が、男性コーチから性暴力を受けていたと告発しました。これを受け、柔道やテコンドーの女子選手からも暴力や性暴力を受けたとの訴えがあり、韓国社会に大きな衝撃を与えています。

 沈選手が告発したコーチは、同選手が高校2年生だった2014年夏から昨年2月に韓国で開催された平昌冬季五輪開幕2カ月前となる17年末まで、強化選手の合宿中や大学の指導者用のロッカールームなどで性暴力を振るいました。沈選手は二次被害を恐れ、誰にも相談できなかったといいます。

 しかし、「二度と同じような事件が絶対に起きてはいけない」と考え、家族や知人のサポートを受け、今回の告発に至りました。沈選手の弁護人は「指導者が上下関係を利用して暴行と脅迫を加えただけでなく、選手が17歳の未成年のころから約4年間、常習的な性暴力をふるってきた事件で、重大な犯罪行為だ」と指摘しました。

根幹変えて

 都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相は25日の記者会見で、暴力行為の背景となっている成績至上主義について言及し、「韓国スポーツ界の根幹を変えなければならない」と強調。国威発揚のためのスポーツではなく、公正な競争というスポーツ文化が形成されるように取り組むと語りました。

 会見に同席した陳善美(ジン・ソンミ)女性家族相も「どのような金メダルも性暴力を担保にしてはならない。ミートゥーを叫んだ被害者が日常生活を送れるよう援助する」と述べ、被害者が告発できる仕組みの強化や体育の現場に性暴力防止教育の専門家の派遣などを約束しました。

 沈選手の告発を受け、スポーツ団体や女性団体は真相究明と再発防止、加害者の厳重な処罰を求める記者会見を開催。地元・江陵では、江陵原州大学の教授陣が支持を表明し、キャンパスに「沈錫希選手の勇気ある選択、最後まで一緒に歩みます」と横断幕を掲げるなど、支援が広がっています。

 25日に発表された性暴力の根絶を目指す法案は、2月の通常国会で議論される予定です。(栗原千鶴)


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