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2019年1月30日(水)

障害者の就労支援

事業所6割が減収

きょうされん調査 基本報酬引き上げを

 2018年度からの報酬改定の影響で、障害者の就労支援を行う事業の6割が減収となったことが分かりました。全国1870の事業所でつくる障害者団体「きょうされん」(西村直理事長)の調査によるもの。きょうされんは28日、厚生労働省内で会見し、国に対し基本報酬の抜本的な見直しなど緊急の対策を訴えました。


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(写真)会見で調査結果を報告するきょうされんの人たち=28日、厚生労働省

 調査には、重度の障害があり一般企業への就労が困難な人を支援する「就労継続支援B型事業所」918カ所(有効回答866カ所)と、企業への就労を希望する人を支援する「就労移行支援事業所」145カ所が回答。報酬改定前の昨年3月と改定後の同5月の基本報酬の月収を比較しました。

 報酬が減収になった事業所は604カ所で59・7%に上りました(グラフ1)。就労継続B型の508カ所(58・7%)、就労移行支援の96カ所(66・2%)でした。

 就労継続B型の報酬が減収となった508事業所のうち、約半数の249カ所が年額200万円以上の減収が予測されると回答(グラフ2)。調査を担当したきょうされんの小野浩常任理事は会見で、「172カ所が年額300万円の減収見込みとし、この額は職員1人分の人件費に相当する」と指摘しました。

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 報酬改定で、就労継続B型については、事業所が利用者に支払う工賃が高いほど報酬が高くなる仕組みが導入されました。

 重度障害がある人や精神障害がある人ほど週当たりの通所日数が少なく通所時間も短くなる傾向があります。小野さんは「調査で、障害が重い人がいる事業所の報酬が下がったことが分かった」と話します。

 また、就労継続B型で「増収」と回答したのは、354カ所。そのうち348カ所は基本報酬が下がったものの利用者の増員や加算で増収したことが分かりました。他方、報酬は増えたけれど職員を「増やさなかった・増やせなかった」事業所で、利用者を増員したところは103カ所でした。

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 小野さんは今回の報酬改定が招いた影響について「利用者は増やしても、その人たちを支える職員を増やすことができず、支援の水準が下がってしまう結果となった」と批判しました。

 きょうされんの藤井克徳専務理事は「国として緊急の対策を取るべきだ」と訴えました。赤松英知常務理事は、基本報酬の抜本的な引き上げが必要だと強調しました。


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