2019年2月21日(木)
毎月勤労統計
産業構造変化の補正 厚労省が独断で取りやめ
総務省の承認得ず
厚生労働省が中規模事業所に対する毎月勤労統計の調査方法を2018年1月に変更した際、最新の経済産業構造調査(経済センサス)の結果を過去のデータにさかのぼって反映させる補正を総務省の承認を得ず、独断で取りやめていたことが20日の衆院予算委員会で明らかになりました。
毎月勤労統計をめぐっては、18年1月から厚労省が不正調査の「補正」をひそかに始めた他に、調査対象事業所を「総入れ替え方式」から「部分入れ替え方式」に変更し、最新の経済産業構造調査に基づく労働者数推計の基準(ベンチマーク)の更新が行われていました。調査対象事業所の入れ替えや労働者数推計の基準の更新は、それ以前の統計データとの間に「ギャップ(かい離)」を生じさせることから、これまで過去にさかのぼってデータを補正する処理(「遡及(そきゅう)改定」)を加えていましたが、厚労省は18年1月から、遡及改定を中止。このため、賃金伸び率が18年1月から急激に上振れしたことが明らかになっています。
立憲民主党の長妻昭議員は、調査対象の入れ替え方式の変更に伴って過去のデータ補正を行わないことは総務省が承認しているが、ベンチマーク更新について過去のデータ補正を行わないことを総務省が公式に事前承認したものではないことを指摘。石田真敏総務相は、ベンチマーク更新について過去のデータ補正を行わない点について「(毎月勤労統計の調査方法変更を申請した16年11月18日の)諮問には含まれていない」と述べ、総務省は事前承認していないことを認めました。
一方、根本匠厚労相は「変更申請で、標本交換(入れ替え方式の変更)とベンチマーク更新によるギャップを一体のものとして(補正しないよう申請を)出している」と強弁し続けました。