2019年2月22日(金)
統計不正 “現場のせいにするな”
関係者 安倍政権の責任逃れ批判
毎月勤労統計の不正を「内部調査」するため根本匠厚生労働相が設置した特別監察委員会。1月22日の中間報告書で、都道府県あてに調査方法を変更すると部長名で通知した不正の事実などを明記しながら、「担当課のみの判断(として行った)」と結論づけています。組織的関与を否定する一方、現場の担当者に責任を押し付けるものであり、国の統計業務に携わったことがある関係者は、本紙の取材に「厚労省に限らず、担当課のみの判断はありえない」と反論します。(岡素晴)
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この関係者は「統計で何かを変更する場合、総務省の統計審議会(07年に廃止、現・統計委員会)にかける必要があります」といいます。統計法は、毎月勤労統計をはじめ政府の経済指標などに広く用いられる「基幹統計」を行う際、担当大臣が総務相に調査内容などを届け出て、承認を得なければならないと定めています。
今回の不正に関して厚労省は、東京都内の従業員500人以上の事業所は全数を調査すべきにもかかわらず、3分の1の抽出調査に変更することを総務相に申請していませんでした。統計法違反は明らかですが、根本厚労相は特別監察委の報告書通りに、局長級職員が不正を知らなかったと説明。安倍政権は現場の課長級以下に責任を押し付けようとしています。
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前出の関係者は、法律違反にかかわる重大な問題を、調査に直接携わる現場だけで行えるはずがないと繰り返し、「もっと上の方からの指示だったのではないか」と語ります。他方、統計審議会の結論は通常、半年から1年後に出されることが多く、調査変更の必要性があっても審議に時間がかかりすぎるため、変更申請しないまま調査が実施された可能性もあると指摘。現行の統計業務そのものの体制を見直すことも必要ではないかと話します。
厚労省の身内によるお手盛り報告との批判を受け、調査をやり直している特別監察委。同省の組織的関与の疑いをうやむやに、現場が責任を押し付けられたまま、安倍政権の狙う早期幕引きが強行されてはいけないとして、関係者はこう強調します。「野党が頑張って、どうして不正が行われたのか、しっかり明らかにしてほしい。国民も徹底解明をあきらめてはならないと思います」