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2019年2月24日(日)

辺野古工事

膨大な濁り水発生も

環境に深刻な影響

 沖縄県名護市辺野古米軍新基地建設で発覚した軟弱地盤の改良のために、防衛省沖縄防衛局が「一般的な工法」として採用を検討しているサンドコンパクションパイル(SCP)工法で工事を実施した場合、膨大な「濁り水」の発生と、現在設置している汚濁防止膜では汚濁の流出を防げない可能性が指摘されています。


 防衛局は沖縄県に地盤改良に向けた設計変更申請を行う方針ですが、環境への影響は甚大であるため、県は環境影響評価(アセスメント)の実施を求める構えです。

 SCP工法では、予定海域に作業船を移動させ、軟弱地盤にケーシングというパイプを所定の深さ(固い地層)まで打ち込み、そのパイプに砂を投入して、パイプを引き上げて所定の高さから振動を与えながら砂を圧入して砂杭(すなぐい)を構築し、この工程を何度か繰り返して、砂杭を海底面まで構築します。

 振動を加えながらパイプを打ち込み、引き上げるため、海底に沈殿している泥土(ヘドロ)が舞い上がり、濁り水が発生し、潮の流れで広く拡散します。

 ところが、沖縄防衛局が設置する汚濁防止膜は水深7メートルしかありません。軟弱地盤が広がる大浦湾の水深は最大で60メートル近くに達するため、汚濁が防止膜の下から流出する可能性があります。

 沖縄防衛局は2013年に提出した辺野古埋め立て承認に伴う環境保全図書で、濁り水は区域外に拡散しないとしていますが、データを意図的に書き換えた疑いがあります。

 大浦湾のような、海底地形が複雑で潮流も激しい海域では、海流は水平方向とともに上下運動も加わります。沖縄防衛局が環境保全図書で示したシミュレーション解析には、水平方向の数式は記されていながら、海流の上下運動はないという条件の方程式になっています。

 流体力学に詳しい、財団法人地球科学総合推進機構の中本正一郎元主任研究員がこの点を明らかにしました。中本氏は、この方程式の書き換えで、工事現場などで発生する「濁り水」は1リットルあたり2ミリグラム以下とする基準をクリアさせたと指摘しています。

 本紙は、改良工事をめぐる「環境保全措置を適切に講じることなどで、影響の低減などが可能」とする判断理由を防衛局に質問しましたが、県の埋め立て承認撤回に対する「国土交通省への審査請求の期間中」であることを理由に回答を拒否しました。


ずさんな計画 確実に海汚染

 1級土木施工管理技士の奥間政則さんの話 私が担当した古宇利(こうり)大橋(沖縄県今帰仁=なきじん=村)の工事では、琉球石灰岩の地盤で工事は難航し、汚濁防止膜を水深13メートルの海底までしっかり張っても、潮の流れで防止膜が浮き上がる“ふかれ”という現象が起こり、濁り水を大量に流出させた経験があります。沖縄防衛局のずさんな計画では確実に海域を汚染し、環境への深刻な影響は避けられない。埋め立ては断念するべきだ。


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