2019年2月28日(木)
統計不正 組織的「隠蔽」また認めず
特別監察委が追加報告書
毎月勤労統計の不正問題で、再調査を進めていた厚生労働省の特別監察委員会は27日、追加報告書を取りまとめました。不正は「担当課や室という組織としての判断があった」と指摘。一方、不正の隠蔽(いんぺい)については、組織的にも個人的にも認められなかったとしました。
監察委は1月22日にも報告書を公表したものの、関係者の聴取や報告書作成への厚労省職員の関与が発覚。「お手盛り調査」との批判を受け、公表からわずか3日後に根本匠厚労相が再調査を表明せざるを得ない事態に発展していました。
厚労省は、本来全数調査すべき従業員500人以上の事業所について、総務省に報告せずに東京都では2004年から抽出調査に変更していました。
追加報告書は、厚労省の歴代担当職員が不正を認識しながら虚偽の説明をしてきたと認定。16年10月には当時の雇用・賃金福祉統計室長が「既に抽出調査としていることを説明すれば、これまでの不適切な取り扱いの説明にも窮することから、事実を正直に言い出せ」なかったとしました。
一方、「ことさらに隠そうとの意図があるとまでは認められない」として隠蔽を否定。統計部局トップ以外の幹部については、組織的隠蔽に限らず「非難すべき組織としての独自の判断が行われたとも認められない」と、完全に免罪しました。
監察委の荒井史男弁護士(元名古屋高裁長官)は同日の会見で、刑法上の「故意行為」を隠蔽の判断基準にしたと説明。報告書で「『組織的隠蔽』の概念は多義的」だとしながら、極めて狭い概念で隠蔽の有無を判断したことを示しました。
樋口美雄委員長(労働政策研究・研修機構理事長)は、統計手法の変更への官邸の関与について問われ、監察委の調査の対象外だとの考えを示しました。