2019年3月7日(木)
主張
沖縄・米軍新基地
「辺野古唯一」が普天間を固定
「辺野古移設が唯一」の立場に固執する限り、普天間基地は固定化され続ける―。沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設計画をめぐり、日本共産党の小池晃書記局長は5日の参院予算委員会で、「辺野古は海底も地上も基地を造れる場所ではない」と告発し、「普天間の危険性除去」という安倍晋三政権の口実が成り立たないことを明らかにしました。新基地建設の中止、普天間基地の無条件撤去こそ、沖縄の民意に応える道であることが一層鮮明になりました。
海底も地上も危険
新基地建設のために埋め立て工事が進められようとしている辺野古東側の大浦湾の海底には軟弱地盤が広がり、最大深度は海面下90メートルに達します。政府は埋め立てには地盤改良が必要であることを認めていますが、日本国内の工事実績は深度65メートルです。しかも、日本にある作業船で改良工事ができる深度は70メートルまでです。
岩屋毅防衛相は深度90メートルの軟弱地盤について、改良工事が必要なのは70メートルまでであり、その下は「固い粘土層」になっているから安定性は確保できると強弁しましたが、その根拠となるデータは一切示しません。
小池氏は、関西空港では比較的固いとされる洪積粘土が堆積していたものの予想をはるかに超える沈下が進んでいること、辺野古の地盤は洪積粘土より軟らかい沖積粘土で、長期にわたる深刻な沈下が起こる恐れがあることを追及しました。防衛省は「対策を講じる」と述べ、沈下の危険を事実上認めました。極めて重大です。
軟弱地盤改良のために打ち込む約7万7000本の砂杭(すなぐい)に必要な砂が約650万立方メートルと、沖縄県全体の年間砂利採取量の数年分に当たる膨大な量に上ることも大きな問題です。岩屋防衛相は工費や工期がどのくらいかかるかも答えることができませんでした。
辺野古新基地の危険は海底だけではありません。
辺野古にある沖縄高専の校舎などが、米軍機の安全のために米国防総省が定める高さ制限を超えていることが分かっています。防衛省は高さ制限を超える建物などが358物件もあることを明らかにしました。新基地は「米国では造れない基地」に他なりません。
防衛省は、新基地の飛行経路は基本的に海上に設定されるため問題ないと説明しています。しかし、政府は、米軍機が新基地の飛行経路を外れて飛ぶ場合があることを認めています(昨年5月25日閣議決定の答弁書)。「安全」だという保証は何もありません。
政府は民意に従え
普天間基地では今年1月、他の基地に所属する外来機の離着陸回数が調査開始以来最高となり、「市民の安全より軍事訓練が優先される危険な状態に市民の怒りは既に限界に達している」(2月の宜野湾市議会抗議決議)とされます。しかし、安倍政権は、県と約束した「普天間の5年以内の運用停止」も要求せず、米軍の横暴勝手な運用を野放しにしています。「普天間の危険性除去」は口先だけです。
小池氏が明らかにしたように、辺野古に基地は造れません。政府は、県民投票で示された沖縄の民意に従い、辺野古の埋め立てをやめ、普天間基地の無条件撤去を求めて米国と交渉すべきです。