2019年3月19日(火)
論戦ハイライト
参院予算委 辰巳氏の質問
勤労統計の調査方法変更 官邸の“影響”追及
検討会何だったのか 意向受け結論を変更
日本共産党の辰巳孝太郎議員は18日の参院予算委員会で、毎月勤労統計の調査方法の変更をめぐって、有識者検討会の結論が官邸の関与・影響によって変更させられたのではないかと追及しました。
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厚生労働省の姉崎猛統計情報部長(当時)は、毎月勤労統計の調査方法の変更について「(私が)もともと考えていた」として、官邸の関与・影響を否定しています。姉崎氏が2015年9月14日に中江元哉首相秘書官(当時)から毎月勤労統計の調査方法について「部分入れ替え方式」を提案される直前まで、検討会は「総入れ替え方式」を維持する方針でした。しかし、この直後、結論が「引き続き検討する」と変更されます。辰巳氏は、検討会の結論が変更された経緯を二つの角度からただしました。
一つは、姉崎氏が中江氏に面会する前に検討会の結論の変更の指示を出したとしている点です。
辰巳氏は、指示を受けた課長補佐が厚生労働省の藤沢勝博政策統括官に当初「記憶にない」と述べていたにもかかわらず、その3日後には「14日朝に指示を受けた」と修正していることを指摘し、次のようにただしました。
辰巳 初めは記憶にないといったのに、(数日後には)14日朝という。朝という根拠はあるのか。
藤沢 担当補佐に確認したところ、そういっていたからだ。
辰巳氏は、厚労省が14日午後2時1分に保存した検討会報告書の素案には「総入れ替え方式」とされていたのに、同日午後10時33分に結論部分だけが書き換えられていたことを示し、「姉崎氏からの指示は(14日)『朝』ではなく、『昼』の早い時間に中江氏と面会し、戻ってから出されたものではないか」と指摘。姉崎氏は「私は(中江氏と面会する)前に部下に指示をした」というだけで何の根拠も示せませんでした。
二つ目は、姉崎氏が検討会の結論を変更させた理由として、年末に統計委員会で毎月勤労統計の確認作業があり、その前に、結論を出さない方がいいと考えたなどと説明している点です。
辰巳氏は、姉崎氏が確認作業のスケジュールを知ったのは2014年11月で、検討会を立ち上げるはるか前であったことを確認。ところが、姉崎氏は、(8月の)第5回検討会で「総入れ替え方式」とする結論がまとまろうとしているのに何も言わず、9月14日に突然、変更を言いだしました。
辰巳 なぜ、第5回検討会まで、結論を出すべきでないと一言も言ってないのか。
姉崎 ずっと前から考えていたが、最終的に指示が遅くなってしまった。
辰巳氏は、第6回の検討会の直前に、厚労省職員が検討会の阿部正浩座長(当時)に電話で「結論は決めず厚労省にフリーハンドを与えてほしい」と話したことが報じられているとして、「阿部座長はどう受け止めたか」と質問。阿部氏は「ある程度の自由裁量権が厚労省にほしいということだったと思う」と答えました。
辰巳氏は「検討会は何だったのかということになる」と指摘。結局、官邸の意向を受けた厚労省が結論を変えたということだと厳しく批判しました。
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