2019年4月5日(金)
NECの大リストラに批判
岩手・一関事業所の閉鎖
労組・自治体 雇用・地域守れ
電機大手でリストラが大規模に行われています。電機・情報ユニオンのまとめによると、削減対象は2011から18年までに合計44万人に上ります。このうち、NECが打ち出した工場閉鎖に対し、同ユニオンをはじめ、地域の労働組合、自治体、市議会からも「雇用と地域を守れ」との声があがっています。
(唐沢俊治)
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「NECは、一人ひとりの労働者の重みを感じていない。働く権利があるはずなのに、解雇されてびっくりし、悲しい」
NECの子会社NECプラットフォームズ一関事業所(岩手県一関市)で、健康管理を担当していた40代の女性が語りました。2014年から嘱託社員として契約を繰り返してきましたが、今年3月末、同事業所の閉鎖を理由に、まともな異動・転職の対応もなく解雇されました。
NECは昨年、「生産体制の効率化」などを理由に、グループで3000人の人員削減や国内工場の統廃合を発表。通信機器を生産してきた一関事業所の機能は、別の事業所に移し閉鎖することになりました。
従業員約260人には別の事業所での雇用などが示されましたが、半数以上は雇用が確保されなかったとみられています。
前出の女性は別の会社を紹介されたものの不採用とされ、NECで継続して働きたいと伝えても、その後は「契約は3月まで」との説明が繰り返されたといいます。
厚労省も「対応」
電機・情報ユニオン、全労連、東京地評は3月25日、厚生労働省などに対し、NECをはじめ電機産業による不当な大リストラから雇用から守るように要請。同28日の会社との団体交渉では、女性が勤務地や職種の変更などを含めグループ関連企業内での雇用継続を求めました。しかし、会社側は、かたくなな立場を変えず解雇を強行しました。
女性は同社に入社した最大の理由は、求人票に「正社員登用あり」と記載があったからだといいます。「正社員になることを目指して業務を誠実に行ってきました。業務自体は他の事業所にもあります。雇用の継続を訴えていきます」
前出の政府要請で、同席した日本共産党の倉林明子参院議員に対し、厚労省は「労働局に情報提供し、できる限りの対応はする」と回答しており、会社側の対応が問われます。
社会的責任問う
日本共産党の菅野恒信一関市議は昨年6月、市議会でNECには巨額の内部留保があると指摘し「企業の存続を強く求めるべきだ」と主張。勝部修市長も「事業所の存続も含めて雇用確保を求める」と答弁しました。
市内に関連企業も多く、雇用への影響にとどまりません。一関公共職業安定所、県、市などは今年2月、離職者対策本部を設置して、再就職支援などにあたっています。
電機・情報ユニオンの米田徳治委員長は、「企業としての社会的責任が問われる。引き続き運動を広げ、解雇撤回、雇用確保を求めていきたい」と話します。
岩手県労働組合連合会(いわて労連)の金野耕治議長は、「事業所閉鎖は、地元で雇われて働いていた人の生活や人生設計を大きく狂わせておきながら、立ち去るようなもの」と批判。「NEC全体で見れば、雇用を守る体力はあるはずです。雇用を維持しながら地域経済を守るスタンスに立つべきだ」と話しています。