しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年4月19日(金)

主張

日米「FTA」協議

“亡国”の危険が浮き彫りに

 日本とアメリカの貿易協定協議の初会合が、現地時間15、16の両日、アメリカのワシントンで開かれました。初会合では主に、交渉対象など、協議の枠組みが焦点になったといわれます。

 トランプ米政権は、農産物など物品関税の撤廃・削減に加え、サービス分野なども取り上げることに固執し、文字通りの「自由貿易協定(FTA)」協議の危険が浮き彫りになりました。トランプ政権や、農畜産物など関連業界は、離脱した環太平洋連携協定(TPP)以上の成果をあげると公言しており、日本を“亡国”に導く協議の中止は待ったなしです。

言いなり姿勢は明らか

 日米貿易協定協議は、昨年9月の日米首脳会談で、安倍晋三首相とトランプ大統領が、開始で合意したものです。日本側は「物品貿易協定(TAG)」交渉だとごまかしてきましたが、アメリカ側は繰り返し「FTA」交渉だと明言しています。実際トランプ政権が昨年末公表した「対日貿易交渉目的」という文書では、農産物や自動車、金融、為替など22項目の交渉事項を列挙し、「TPPを下回らない水準」での成果を出すと、はっきり書かれています。

 トランプ氏は2017年の大統領就任後、一方的にTPPからの離脱を表明し、安倍政権は、「復帰させる」としてきましたが、結局かないませんでした。その結果、アメリカを除く11カ国とのTPP11(イレブン)の発足や日本と欧州連合(EU)との「経済連携協定(EPA)」の発効と並んで、今回の日米交渉開始を受け入れたのです。安倍政権の経済外交の行き詰まりの象徴です。

 茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表とが協議した交渉初会合では、予想通り、ライトハイザー氏が、交渉対象に農産物や自動車だけでなく、サービスや為替も含めることを強く主張しました。農産物や自動車など物品の関税撤廃・削減にとどまらず、電子商取引などの「デジタル」貿易についても、議論することで合意しました。アメリカが要求している幅広いサービス市場の開放や、為替問題についても、今後の協議の余地を残しました。為替問題は、両国財務相間で協議されます。茂木担当相は、農産物の関税撤廃水準は、TPPの自由化水準を「最大限」にするといいますが、その実現の保証など、全くありません。安倍政権のアメリカ言いなりの、屈辱的な姿勢は明らかです。

 すでにTPP11や日欧EPAの発効で、オーストラリアやニュージーランド、欧州諸国からの牛・豚肉や乳製品などの輸入が急増しており、日本の農業や畜産業は重大な危機に直面しています。この上さらに日米協議で、農産物の輸入拡大や、サービス市場の開放が押し付けられれば、国民の暮らしも日本経済も成り立たなくなります。“亡国”の日米協議は、直ちに中止すべきです。

「アメリカ第一」の交渉

 TPPはもともと、国際競争力の強い経済大国や、多国籍企業に有利な、貿易・投資のルールづくりです。トランプ政権が発足後、TPPから離脱して、2国間交渉に乗り出したのは、「アメリカ第一」の立場から、より有利な譲歩を迫るためです。アメリカ言いなりの交渉を続け、さらに譲歩を重ねるのは危険この上ありません。


pageup