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2019年4月25日(木)

ハラスメント禁止へ修正案 共産党提出

衆院厚労委 高橋議員、可決の政府案批判

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(写真)高橋千鶴子議員=24日、衆院厚労委

 女性活躍推進法等改定案が24日の衆院厚生労働委員会で採決され、自民、公明、立民、国民、維新、社保の各党・会派の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。同改定案は、パワハラについて企業に防止措置を義務付けたもののハラスメントの禁止規定は盛り込まれていません。日本共産党は、ハラスメント行為を禁止し、独自の救済機関の創設を盛り込んだ修正案を提出しましたが、否決されました。

 日本共産党の高橋千鶴子議員は、同党が提出した修正案の趣旨説明で、職場におけるハラスメント規制が国際的な大きな流れになっていることをあげ、「このままでは日本は、ハラスメントの禁止規定を持たない後進国になってしまう」と指摘。「世界の流れという観点から、また、女性の願いという観点から、ハラスメントによる被害者の救済とハラスメントの防止について、実効ある法整備が今、求められている」と強調しました。

 また、採決に先立つ反対討論で、高橋氏は、政府提出の改定案がハラスメントの禁止規定を設けず、被害者の救済が現状の措置にとどまっている点を厳しく批判。今年6月に採択されようとしている国際労働機関(ILO)の条約では、ハラスメントについて就活生や顧客、患者など対象を幅広く定義しているとして、「明確に禁止規定の法整備を求めている条約の批准ができるとは到底いえない」と指摘しました。


解説

女性活躍推進法改定案 可決

ハラスメント行為法的禁止こそ必要

 24日の衆院厚生労働委員会で可決された政府提出の女性活躍推進法等改定案は、ハラスメント行為を法的に禁止していないため、まん延する被害を防止するには極めて不十分な内容となっています。改定案では、パワハラについて企業に防止措置を義務付けたものの、同様の防止措置義務規定が男女雇用機会均等法で既に設けられているセクハラでは、被害がまん延し続けています。

 2017年度に都道県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は約7000件にのぼっていますが、このうち、男女雇用機会均等法に基づく行政救済制度が利用されたのは、「紛争解決の援助の申し立て」が101件、「調停申請」が34件とわずかしかありません。男女雇用機会均等法では、勧告に従わない企業に対して企業名公表制度が設けられていますが、セクハラで企業名が公表された事例は過去に1件もありません。ハラスメント行為が法的に明確に禁止されていないため、裁判でも十分な権利回復がはかれていません。

 ハラスメントは、働く人の尊厳、人格を大きく傷つけます。多くの被害者が声を上げることができず、勇気を振り絞って相談しても事業主から適切な対応が取られず、加害者から謝罪さえ受けられず、心身に不調をきたし、休職・退職に追い込まれたりしています。ハラスメントを防止するためには、禁止規定を明確化し、独立した救済機関を創設することがどうしても必要です。


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