2019年5月1日(水)
きょうメーデー 国立病院の非常勤職員
「3年で無期転換」 全医労が実現 「安心して働ける」
全日本国立医療労働組合(全医労)はこの4月、国立病院(機構)で働く非常勤職員が無期転換に要する期間について、労働契約法の5年を前倒しで3年とすることを実現しました。これまでの3~5年ごとに雇い止め・公募採用になる制度から、雇用安定へ大きく前進する成果です。安心・安全の医療を求める運動を広げて獲得しました。非常勤職員から「安心して働ける」と喜びの声が上がるなか、今日のメーデーを迎えました。(田代正則)
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国立病院は、常勤職員約6万人に対して、非常勤職員が1万2000人以上。このうち事務職4800人、病院給食の調理や清掃など技能職3200人、看護師2100人などとなっています。
非常勤職員は、1年任期で3~5年を更新上限として、ふたたび公募試験に合格しなければ雇い止めになるため、雇用不安にさらされていました。
全医労は、安心・安全の医療と人員不足に対応する必要性など、当局側との一致点を追求。ストライキ権投票で過去最高の賛成97・2%を達成して臨んだ昨年11月の団体交渉で、更新上限を撤廃し、5年無期転換ルールを前倒し実施することで合意しました。
新たな無期転換制度が始まる直前の今年3月末、四国と九州の病院で非常勤職員があやうく雇い止めになりそうな事件が発生しました。医師など職場から「その人がいなくなったら困る」という声を集め、契約更新を実現しました。
全医労の佐藤晃一委員長は、「すべての医療従事者が安心して働けてこそ、医療も充実します。待遇改善にも総力をあげていきます」と強調します。
声を上げた非常勤
「全医労は結成以来、不安定雇用の仲間の要求を掲げて運動してきました」と全医労の佐藤委員長は強調します。
国立病院は1960年~70年代、看護師の夜勤回数を削減する必要に迫られたものの、国家公務員の定員制限で正規職員を増やさず、「賃金職員」と呼ばれた非常勤職員の増員で対応していました。非常勤職員は看護師以外にも広がっていきました。
全医労は正規雇用での増員を要求。非常勤職員に組合加入を呼びかけ、待遇改善を前進させていきました。香月直之書記長は、「非常勤職員自身が声をあげ、立ち上がったことが要求実現の力になりました」と語ります。
2004年に国立病院が独立法人化。15年、職員が非公務員型となって労働契約法適用になりました。5年後の20年から労契法の無期転換権が発生することになりますが、全医労は、医療の充実と人手不足に対応するため前倒しで実施すべきだと求めてきました。
当局も「有為な人材の確保・定着」を図るとして、3年での無期転換に合意しました。
香月書記長は、「無期転換を実現したことで、待遇改善をすすめる土台になります」と意義を指摘します。
非常勤職員は実際には長く働いていても、雇い止め・新規採用の繰り返しという扱いのため、常勤職員の1年目と時間額で同じ賃金になっていました。
全医労は、賃金に経験加算を行うなど無期雇用にふさわしい労働条件を求めています。さっそく、非常勤職員の夏期休暇2日が、無給から有給になるなど改善がすすみはじめています。