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2019年5月9日(木)

イラン 「核合意」一部停止

米政権の「離脱表明」に対抗か

 【カイロ=松本眞志】イラン政府は8日、国連安保理常任理事国(米英仏中ロ)とドイツが締結した「核合意」について、「限定的履行」と称して履行の一部を停止すると表明しました。イランのロウハニ大統領は、米国以外の5カ国大使に声明文を書簡で伝えました。

 イラン側の対応は、トランプ米政権が昨年5月に一方的に「核合意」から離脱を表明し、対イラン経済制裁再開に踏み切ってイランとの交易国にも制裁を発動していることへの対抗措置とみられています。

 ロウハニ氏は8日、国営テレビで、「核合意は地域と世界に恩恵をもたらしている」と強調。イラン側から「合意」離脱を行わないと述べつつ、「(米国以外の)合意署名国が、2カ月間のうちに、イランに対して、石油や金融分野での利益をもたらすことができないならば、段階に応じて合意履行を停止する」と主張、高濃縮ウランの保有制限撤廃などに踏み出すことを宣言しました。

 2015年に締結されたイランの核に関する「包括的共同行動計画」、いわゆる「イラン核合意」は、イランが濃縮ウランの貯蔵庫や遠心分離機を削減し、兵器に転用できる量のプルトニウムの生産を停止する代わりに、欧米が経済制裁を解除するという内容。

 今回のイラン側の措置に対して、現地のメディアは、「イランが『核合意』から手を引くならば再度制裁を科す必要が出てくる」などの欧州側の懸念を伝えています。


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