2019年5月9日(木)
目でみる経済
林業生産額が増加傾向
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国内の木材生産額が近年、増加傾向にあります。2009年に1864億円まで減少しますが、17年には2549億円まで回復しています。
増加の一因となっているのが、木材などを燃料とする木質バイオマス発電の拡大です。「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」が12年に導入されて以降、各地でバイオマス発電施設が新たに整備されています。17年に46カ所が同制度により売電を行っており、さらに83カ所が新設予定です。
木質バイオマス発電は、林地残材の活用による収入や雇用の確保など、林業再生への貢献が期待されます。しかし、地域の資源実態を無視した整備が進められ、一部で輸入燃料への依存や製材品に利用できる良質材などが燃料にされる問題が起きています。木質ペレットの輸入量は13年から17年の間に、約6倍に増加しています。
キノコ類生産を含む林業は増額傾向を示していますが、国内総生産(GDP)に占める比率は1%にも達しません。
林業の再生には、地域の実態に即した国産材の生産・加工・流通体制の構築が必要です。国産材は良質材から低質材まで100%有効利用し、「エネルギー利用は低質材」の原則を確立することが求められます。(増田哲明)