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2019年5月9日(木)

高額関税は米経済に打撃

成果焦るトランプ大統領

 米中貿易交渉が急変しました。トランプ米大統領は5日のツイッターで、「中国との通商協議は継続しているが、進展が遅すぎる」とし、追加関税を現行10%から25%に引き上げる考えを示しました。中国側に譲歩を迫るための関税引き上げは、中国との相互依存関係を強める米国経済にとっては打撃となります。

 ピーターソン国際経済研究所によると、関税引き上げの第3弾となる今回の対象は、24%が消費財です。これまで第1弾、第2弾の関税措置では、消費財は1%にとどまっていました。今回の措置が実施された場合、米国民の消費生活を直撃します。

 さらにトランプ大統領は、「追加関税が課されていない3250億ドル相当の中国からの輸入に対しても、近いうちに25%の関税を課す」としています。通商交渉の成果への焦りがうかがわれます。

 全米小売業協会(NRF)は5日見解を発表し、「通知から実施まで1週間にも満たない突然の関税率引き上げは、米国企業、特に小規模事業者に深刻な混乱をもたらす」とトランプ政権の性急なやり方を批判します。中国への追加関税という「脅し政策」を続ければ、「米国の消費者は物価上昇に直面し、米国の雇用も失われることになるだろう」と警鐘を鳴らしています。

 多国籍企業化を進めてきた日本の大企業は、中国へ生産を移転し、中国から米国などへ最終製品を輸出する生産のネットワークを形成してきました。米中間での関税の報復合戦は、日本企業の通商戦略にも大きな影響を与えます。

 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は7日の定例記者会見で「本当に実行されると、影響は大きい」と米中摩擦激化に懸念を表明しました。

 有力シンクタンクのアナリストは、「トランプ氏の単なる交渉術なのか、中国の産業政策まで改編を求める本格的なものなのか。両国の交渉は、ギリギリまで分からない」といいます。両国首脳によるトップ会談まで神経戦が続きます。(金子豊弘)


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