2019年5月23日(木)
国有林の役割損なう
国有林野法改定案 紙氏が指摘
参院本会議
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大規模伐採を行う民間事業者に国有林の伐採を長期間委託することを可能にする国有林野管理経営法改定案が22日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の紙智子議員は、同改定案は国有林が持つ三つの役割―(1)公益的機能の発揮(2)林産物の計画的・持続的供給(3)地域振興または住民福祉の向上への寄与―を損ないかねないと指摘しました。
紙氏は、改定案が大規模な林業経営者を育成するために樹木採取区を指定し、最大50年もの間、国有林を伐採する権利を与える点をあげ、「大規模林業経営者や企業に至れり尽くせりの政策で、長伐期で何度も間伐する自伐型林業者が排除されるのではないか」とただしました。
紙氏はさらに、改定案が林業経営者に伐採あと地に植栽する義務を課しておらず、植栽費用は税金で負担するとしている点を批判し、「伐採して利益を上げるのであれば、山が荒廃しないように植栽して国に返すのが当然だ」と指摘。「大手木材メーカーや燃料材を求める大規模なバイオマス発電会社が安い国産材を求めているから、国有林を民間に払い下げるのではないか」とただしました。
吉川貴盛農水相は、紙氏の追及に正面から答えず、「林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立をはかることが林業改革の目的だ」などと主張しました。