2019年5月28日(火)
貿易交渉「決着」 参院選後に
米大統領「8月によい発表」
日米首脳会談 F35購入あらためて迫る
来日中のトランプ米大統領と安倍晋三首相は27日、都内の迎賓館で日米首脳会談を行い、最大の焦点である日米貿易協定について、早期の成果達成に向けて議論を加速させることで一致しました。
トランプ氏は会談の冒頭、「8月に両国にとってよい発表ができるだろう。貿易不均衡を早期に是正しなければならない」と明言。日本の市場をさらに明け渡す新たな貿易協定を、7月の参院選直後にも締結する可能性を示しました。
会談後、両首脳は共同記者会見に臨み、トランプ氏は貿易協定について農産物を念頭に「すべての障壁を取り除くことが目標だ」と述べ、「貿易問題で近いうちに多く発表できるだろう」と述べました。
一方、安倍首相は、交渉の具体的な日程について「日米の信頼関係に基づき、議論を加速させる」と述べるにとどまり、「8月決着」に関する記者団の質問には答えませんでした。参院選での争点化を回避する意図は明白です。
さらに、トランプ氏は「TPP(環太平洋連携協定)は関係ない。私は何にも縛られない」と強調。首相も新たな貿易協定は「TPP水準」を上限とするかどうかの質問に答えず、TPP以上の市場開放の可能性を否定しませんでした。
トランプ氏は米国製武器の購入について、「日本は最大の買い手になった」と絶賛。「F35ステルス戦闘機105機を購入いただける。米国の同盟国では、日本が最も多くのF35を保有することになる」と述べ、昨年末に決定した105機の追加購入を予定通り行うよう迫りました。
北朝鮮問題では、首相は「日米の立場は完全に一致している」と明言。日本人拉致問題の早期解決に向け、「(北朝鮮の金正恩委員長と)条件を付けずに会い、虚心坦懐(たんかい)に話したい」と述べました。
ただ、北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射について、首相は「国連安保理決議に違反するものであり、極めて遺憾だ」と述べたのに対し、トランプ氏は「そうは思わない」と述べ、温度差が浮き彫りになりました。また、日朝首脳会談について、首相は「現時点でめどがたっているわけではない」と認めました。