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2019年5月29日(水)

トランプ大統領訪日 「強固な同盟」言うが

米にこびるだけの首相

 4日間の日程を終え、トランプ米大統領が28日、帰国しました。安倍晋三首相はトランプ氏との個人的な信頼関係を強調し、「日米同盟は世界でもっとも緊密な同盟になった」(27日)と誇ります。しかし、ひたすらトランプ氏にこびへつらって世界に醜態をさらし、「アベほど大統領のエゴにこびるのに熱心な首脳はいない」(米紙ワシントン・ポスト)などと評される結果となりました。

貿易協定密約か

 「(貿易協定について)8月によい発表ができるだろう」。27日、首脳会談冒頭のトランプ氏の発言は大きな衝撃を与えました。これに先立ち、トランプ氏はツイッターで「7月の選挙後まで待つ」とも述べています。

 7月の参院選後に、農産物の輸入を大幅に緩和する新たな日米貿易協定を結ぶ密約―。そう解釈できる発言です。西村康稔官房副長官は27日、「8月決着」は「全くない」と否定し、火消しに躍起になりましたが、首相自身は否定も肯定もしていません。仮に「参院選の後まで待ってほしい」と要請していたのなら、その代償は高くつきます。

 トランプ氏は首脳会談で、米国産牛肉の対日輸出拡大を“成果”として繰り返し強調。一方、日本側は26日の両首脳のゴルフ後の昼食にわざわざ米国産牛肉を使ったダブルチーズバーガーを用意し、“ご機嫌取り”に腐心していました。

 貿易協定の早期妥結と並び、トランプ氏が執拗(しつよう)に迫ったのが、F35ステルス戦闘機105機の購入です。

欠陥などで高騰

 政府は昨年末、F35の105機追加購入を閣議決定。そのうち42機が短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF35Bで、「いずも」型護衛艦を改修して搭載する計画です。

 ところが今年4月、航空自衛隊のF35Aが墜落。米国内でも墜落事故が発生し、機体の欠陥などで開発コストも高騰しています。

 本来なら、導入計画の是非を再検討すべきですが、安倍首相は28日、「いずも」型の2番艦である「かが」艦上で、「本艦を改修し、STOVL機を搭載する」と明言。“爆買い”を誓約しました。

 一方、トランプ氏の来日直前、米国は未臨界核実験を2月に行ったと発表。本来なら唯一の戦争被爆国として抗議すべき道義的責任があるのに、首相は一言も触れませんでした。

 安倍官邸には、トランプ大統領訪日で「強固な日米同盟」を誇示し、参院選の宣伝材料とする狙いも見え隠れしていました。しかし、ひたすらこびへつらう首相の姿から、逆に「こんな米いいなり政治でいいのか」が問われる結果になりました。

 日米関係は予見しうる将来にわたり、最も重要な2国間関係です。日米が真の友人になるためには、安倍政権のような卑屈な姿勢ではなく、お互いに言うべきことを言える―そうした政治こそ求められます。(竹下岳)


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