2019年5月30日(木)
国有林民間開放の端緒
紙氏に参考人が指摘
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参院農林水産委員会で28日、大規模伐採を行う民間事業者に国有林の伐採・販売を長期間委託できるようにする国有林野管理経営法改定案の参考人質疑が行われ、日本共産党の紙智子議員が質疑に立ちました。
愛媛大学の泉英二・名誉教授は、改定案が民間事業者に「樹木採取権」を与える仕組みは、公共施設の管理等を民間に委ねるPFI法の引き写しだと指摘。「公共施設等運営権(コンセッション)制度の特例法としてしか理解できない」と述べ、国有林を民間事業者に広く開放するための「端緒が切り開かれた」と述べました。
紙氏は、安倍晋三首相が議長を務める未来投資会議で国有林の民間開放が提案されトップダウンで立案されてきた経過をあげ、参考人の見解をただしました。信州大学の鮫島正浩特任教授は「トップダウンはつきものだが、それをどう受け止め、どう議論し、どう展開するかが一番大事だ」と主張。全国国有林造林生産業連絡協議会の高篠和憲会長は「林業を深く知ってもらい、議論によってよい方向を出してほしい」と述べ、議論の徹底を訴えました。
一方、泉氏は「未来投資会議の強い力があったことは事実だ」と強調。改定案が成立すると、国有林をどの程度、民間に開放していくかは「運用次第で、国会の審議を経ずに政令・省令で定めることができる」と警鐘を鳴らしました。