2019年6月1日(土)
野党要求の議事概要提出
石炭火力全廃やめた有識者懇
政府の地球温暖化対策の長期戦略案のもとになった有識者懇談会の提言で、座長案にあった石炭火力全廃の方向が非公式会合で産業界の委員の反対で削られたとされる問題をめぐって、31日に開催された参院資源エネルギー調査会で、非公式会合の議事概要が提出され、環境省の城内実副大臣が説明しました。「経緯を公開する予定はない」としていた政府側に対し、日本共産党など野党が同提言決定の過程を明らかにするよう求めていたものです。
首相の指示でつくられた有識者懇談会は公式会合が計5回、非公開で開催され、配布資料と議事要旨を官邸のホームページに掲載。昨年12月の会合で、座長の北岡伸一・国際協力機構理事長が今後の進め方として、たたき台を基に議論するとしていましたが、公式会合がなく4月の会合で提言が公表されました。
報道によると、座長案には、二酸化炭素を大量に排出する石炭火力について全廃方針が明記されていたのに、産業界の反対で「依存度を可能な限り引き下げる」と後退し、石炭火力を温存する内容になったとされます。
今回、政府側が提出したのは2月18日と3月29日にあった非公式会合の議事概要で、発言者は特定されていません。
焦点の石炭火力について「輸出は、大きなレピュテーション(評判)リスク。少なくとも公的資金を使うことはやめたい」と石炭火力の輸出に反対する意見表明が複数ある一方、「石炭火力を必要とする国もある」などと石炭火力輸出に固執する意見もあります。
同調査会の山添拓議員は「重要な政策決定に関わる民主主義の問題であり、秘密裏に行うことが問題。もともとの座長案も含め明らかにすべきです」と話しています。