2019年6月4日(火)
国会提出拒み本紙に開示
陸自「日報」 審議避けたい?
防衛相の責任重大
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陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練の「日報」(日々報告)をめぐり、防衛省は「存在の有無を調査中」だとして国会提出を拒んでいます。ところが同省は本紙の情報公開請求に対して、岩屋毅防衛相名で「日報」を開示決定しました。国会を愚弄(ぐろう)する対応であり、防衛相の責任は免れません。
この問題をめぐっては、日本共産党の穀田恵二衆院議員が昨年4月26日、2015年10月から18年3月にかけて陸自が参加した海外での日米・多国間共同訓練の「日報」提出を要求しました。
防衛省は今年3月になってようやく、対象の訓練は30件あり、「日報」は3件のみ存在が確認されたと報告(3月13日、衆院外務委員会)。それ以外については、岩屋防衛相が3月29日付で日報の「保有・作成・廃棄」に関する調査を指示したものの、今なお「調査中」として存否を明らかにしていません。
ところが本紙が今年3月15日付で、17年1月~19年2月までに陸自が参加した共同訓練のうち15件の日報を情報公開請求したところ、5月17日付で、岩屋防衛相名で9件の開示が決定されました。うち6件は穀田氏が提出を要求した期間に含まれます。
自衛隊の「日報」をめぐっては、17年に南スーダンPKО(国連平和維持活動)派兵部隊の「日報」隠蔽(いんぺい)が発覚。さらに昨年4月には、「破棄した」としていたイラク派兵部隊の「日報」が発見され、防衛省・自衛隊の文民統制や文書管理が根本から問われる事態になりました。
共同訓練「日報」に関する防衛省調査の期限は国会会期末(6月26日)後の28日となっています。「調査」を隠れみのにして国会審議を避けようという思惑が透けて見えます。
陸自「日報」の本紙開示
穀田議員「国会に提出を」
国会質疑で要求したものを出さない。これは自衛隊日報の新たな隠蔽です。南スーダン・イラク日報問題から何を学んだのか。その一方で情報公開請求に対して開示するのは国会を愚弄した対応であり、岩屋防衛相の責任は重大です。防衛省は存在している日報をただちに提出すべきです。
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