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2019年7月1日(月)

主張

最低賃金1500円

中小企業支援強化がカギ握る

 安倍晋三政権は今年の「骨太の方針」(6月21日閣議決定)で、最低賃金引き上げについて「年率3%程度を目途として引き上げられてきたことを踏まえ」「より早期に全国加重平均が1000円になることを目指す」ことを盛り込みました。

 しかし、このペースでは、いま全国最低の鹿児島県(時給761円)が1000円に到達するのは、10年後の28年度までかかります。気の遠くなるような話です。

現状わずか6・9億円

 最低賃金は現在最も高い東京都でも985円にとどまります。法律で下回ってはならないと決める最低賃金の引き上げは、労働者全体の賃金底上げにつながる重要な課題です。実現のカギは、中小企業が賃上げできるように支援策を抜本的に強化することです。

 ところが、政府の中小企業支援策は、「業務改善助成金」しかありません。事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げたり、生産性を向上させるために設備投資などを行ったりした際、費用の一部を助成する制度です。これでは実効性がありません。中小企業の約7割が赤字で、設備投資ができるような状況にないからです。

 しかも国の予算は極めて少額です。「業務改善助成金」制度が始まった11年度予算では38・9億円でした。ところが19年度予算は6・9億円へ、5分の1以下への減額です。自民党の「最低賃金一元化推進議員連盟」も「この助成の利用実績はやや低調にとどまっている」「設備投資が直ちに生産性向上につながる事例は限られている」と問題を指摘しています。

 中小企業が求めている支援策は、赤字であっても負担しなければならない社会保険料の減免措置です。日本商工会議所と東京商工会議所が行った「最低賃金引上げの影響に関する調査」結果概要(19年5月)は、最低賃金の引き上げに対応するために必要と考える支援策として「税・社会保険料負担の軽減」を挙げる回答が65・2%と最も多くなっています。

 フランスでは社会保険料の事業主負担の軽減策をとっています。日本でも、このような対策を実施できないはずがありません。

 日本共産党は、最低賃金を全国どこでもただちに時給1000円に引き上げ、すみやかに1500円にすることをめざします。1500円に引き上げれば、8時間働いて、「残業なし・週休2日」で、月25万円になります。人間らしい生活をおくるための最低限の要求です。また、世界で当たり前になっている全国一律の最低賃金制を創設します。

7000億円へ増額を

 最低賃金引き上げ実現のために、日本共産党は、中小企業の賃上げ支援策を抜本的に強める現実的で具体的な提起をしています。現在の政府予算6・9億円を約1000倍にして、7000億円の支援に拡大します。この金額に見合う規模で、社会保険料の事業主負担を減免します。

 社会保険料の減免によって社会保険財政に穴があかないよう、減免した保険料は、国費で補てんします。同じ国費を使うのであれば、法人税減税に使うより大きな政策効果があります。

 最低賃金大幅引き上げをはじめ、8時間働けばふつうにくらせる社会へ力を合わせましょう。


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