2019年7月8日(月)
主張
参院選と農業
希望をもてる農政への転換を
安倍晋三政権のもとで、日本の農業と食料は深刻な状況になっています。食料自給率は38%まで低下し、世界の主要国では最低レベルです。安倍首相は日米貿易交渉の危険な中身を国民に隠し、参院選後に、農業分野などで米国に大幅な譲歩をする合意を企てています。参院選は「亡国農政」を転換し、希望のもてる安心の農政への道を開く重要な機会です。
輸入自由化路線ストップ
歴代の自民党政権は、日本は工業製品の輸出でもうけ、“食料は外国から買えばいい”として、農産物輸入を自由化してきました。1960年代以降、麦や大豆、飼料作物、牛肉やかんきつ類を次々と自由化し、主食のコメまで輸入に道を開きました。外国産の増加の中で、競合する産地や品目の多くが淘汰(とうた)され、食料の6割以上が外国産に依存する事態になったのです。
安倍政権は歴代政権の延長線にとどまらず、戦後農政の基本の考え方をひっくり返し農業崩壊を決定的にする暴走を続けています。
最たるものが、米国のトランプ政権との農産物をはじめとする貿易交渉です。安倍政権は「農産物での譲歩はTPP(環太平洋連携協定)が最高限度」としていますが、トランプ大統領は「TPPには縛られない」といいました。これに安倍首相は何の反論もしませんでした。TPP以上に、農産物や牛肉などの関税が撤廃され、大量の米国産が国内に流入する危険性は明らかです。
昨年暮れに発効したTPP11で、すでに参加国からの牛肉輸入量が増加しています。2月発効の欧州連合との経済連携協定(EPA)では、乳製品などでTPPを超える自由化を受け入れています。日米の貿易交渉を続ければ、日本農業が身ぐるみはがされることになりかねません。
日本共産党は、農産物の輸入自由化路線をストップし、食料・経済主権の回復を求めます。事実上の自由貿易協定(FTA)交渉である日米貿易交渉は中止し、TPP協定からの離脱が必要です。
安倍政権は、輸入自由化を前提に、国内では、農業の「成長産業化」を叫び、競争力強化、大規模・効率化一辺倒の「改革」に突き進んできました。その結果、第2次安倍政権発足からの6年半で、家族農業を切り捨て、企業支配から農家の共同を守る農協をつぶし、コメの直接交付金の廃止、種子法の廃止などの農業つぶしを進めてきました。日本農業新聞(3日付)の農政モニターを対象にした調査では、安倍農政を「評価しない」が65・5%、日米貿易協定「利益なし」が72%に上っています。
安倍政治を変えてこそ
国連は「家族農業の10年」を開始し(2019~28年)、支援を呼びかけました。食料の安定供給や環境保全など、人類社会の持続的発展のためには家族農業が大事との考えは、世界の流れです。日本農業の97・6%を占める家族農業の応援が不可欠です。農産物の価格保障と所得補償によって再生可能な農業にすることが重要です。
安全安心の食料を求める国民の期待は高く、都会の若者の中には「田園回帰」の動きもあります。希望ある農業に向けて農業者と市民・野党の共同、日本共産党の躍進で安倍政治を倒し米国・財界いいなりの政治を転換しましょう。