2019年7月30日(火)
公取委 吉本の「契約書なし」は問題
“独禁法禁止行為の原因に”
吉本興業が所属芸人と契約書を交わしていなかったことが問題視されています。公正取引委員会の山田昭典事務総長も記者会見(24日)で「契約書が存在しないということは、競争政策の観点から問題がある」と指摘しています。
公取委は2018年2月に「人材と競争政策に関する検討会報告書」を公表しています。対象は個人として働く「フリーランス」の芸能人、システムエンジニアらです。
報告書は「競争政策上望ましくない行為」として、こう明記しています。「発注者は、書面により、報酬や発注内容といった取引条件を具体的に明示することが望まれる」
契約書なしでは▽代金の支払い遅延や減額要請▽著しく低い対価での取引要請―などを引き起こす原因となるというのです。
実際、検討会の調査(複数回答)で、芸能人側にこんな不利益が出ています。
―依頼元の都合で発注が縮小、取り消しになったのに、かかった費用を負担してもらえなかった(44%)
―不要な商品などの購入を求められて購入したり、金銭などを求められて提供したりした(40%)
山田事務総長は会見で、契約内容が不明確だと独占禁止法で禁止された優先的地位の濫用(らんよう)などの原因になると述べています。