2019年8月14日(水)
主張
教育のつどい
現状変える知恵と勇気に学び
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2019」(教育のつどい2019=同実行委員会主催)が16日から3日間、滋賀県内で開かれます。全国の教職員、保護者、研究者、市民らが「憲法と子どもの権利条約がいきて輝く教育と社会を確立しよう」などをテーマに、子どもと教育について語り合います。
子どもたちに寄り添って
日本の教育は、安倍晋三政権の教育基本法改悪とその後の全国学力テストや道徳の教科化などによる統制の強まりで、萎縮と忖度(そんたく)が続いています。ブラック校則や学力テスト競争など、人権と多様性の時代におよそ逆行した事態が広がっています。小中学校での不登校は14万人を超えて過去最高となり、NHKの調査では中学生の4人に1人が「不登校傾向」です。
こうした現状を打開し、子どもの命と権利と尊厳を守る学校をつくることは国民的な課題です。教育のつどいは各地の教職員、保護者、市民による400近いリポートをはじめとして、知恵や勇気が交流されます。そこから大いに学びたいと思います。
リポートからは子どもに寄り添う若い教師たちの姿がみえます。
1年生を担任した採用2年目の小学校教師は、子どもたちのつぶやきをだいじにし、学級通信に載せて保護者とも交流しました。反抗的で乱暴な子をめぐるトラブルに苦悩し、子どもがかわいいと思えず泣くこともありましたが、「つぶやき拾いは、やっててよかった!と思います。子どものことを知ることができたからです」と書いています。
採用3年目の中学校教師は、担任したクラスに衝動を抑えきれない子がいる中で、行事を通した仲間づくりをすすめるとともに、保護者とも信頼関係を築いていこうと努力しました。「(子どもたちの)わけがわからんと思える言動であっても、まずは受け止め、目をこらしていくと、そこに彼らなりの主張があると思う」とつづっています。
目の前の子どもたちの声に耳を傾け、その心や背景を理解することこそ、子どもの権利、尊厳を大切にする土台ではないでしょうか。子どもを理解し寄り添う教職員が増えてこそ、子どもたちは安心して学び成長できます。
そのためにも、教職員の多忙化の解消は喫緊の課題です。つどいでは、フォーラム「やっぱり『せんせいふやそう』」や学校づくり、教育条件の分科会などで「働き方」や教職員の抜本増、少人数学級などについて議論します。
今回のつどいでは「日本語指導が必要な児童・生徒」についての特設分科会を設けるなど新たな課題にも力をいれています。
力合わせ希望ある教育を
いまの教育統制は、安倍政権による9条改憲の動きや基本的人権の制限など憲法体制の否定と深くつながっています。しかし国民世論は9条改憲反対が多数です。立憲主義をかかげる市民と野党の共闘はこの4年間で発展し、国会を変えはじめています。希望ある教育を築くため、教育の自主性を保障し、十分な予算を確保する政権を必ず実現しましょう。
教育と日本の未来を、力を合わせて切り開くときです。多くの参加で、教育のつどいが成功することを心から期待します。