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2019年8月16日(金)

主張

子どもの貧困

現状打開へ真剣な取り組みを

 子どもの貧困対策推進法にもとづき政府が決定する「対策大綱」の見直しの議論がすすんでいます。今月初め、内閣府の有識者会議が、新たな大綱に盛り込む施策の在り方を示す文書をまとめました。先の通常国会では、子どもの貧困対策推進法の改正も行われました。家庭の経済的困難が子どもの現在と未来を閉ざしている現状を打開することは、待ったなしの課題です。今年度中に5年ぶりに改定される新大綱を実効性のある中身にすることをはじめ、政府が子どもの貧困解消に向けて真剣に取り組むことが必要となっています。

求められる政治の責任

 日本の子どもの貧困率(平均的な所得の半分に届かない世帯にいる18歳未満の子どもの割合)は13・9%(約7人に1人)と、依然として高水準です。夏休み期間中に学校給食がなくなるため、やせてしまう小中学生も少なくありません。こんな現実をいつまでも放置していいはずがありません。

 貧困と格差の広がりは、どの世代にとっても大きな問題です。発達・成長の過程にある子どもの貧困は、その子どもの可能性を制約するだけでなく、貧困が次世代に引き継がれる危険をつくりだす点からも、影響は一層深刻です。

 子どもの貧困対策に取り組む市民らの運動を背景に、2013年に子どもの貧困対策推進法が全会一致の議員立法で成立しました。同法は14年に施行されて5年が経過する中、見直しの要望も高まり6月に改正が実現しました。

 法律の目的で「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」とあった条文の「将来」の前に「現在及び」を書き込みました。これで貧困対策が「将来」のための学習・就労支援だけでなく、「現在」の子どもの生活改善のためにも力を入れることが明確になりました。保護者への就労支援も「所得の増大」や「職業生活の安定と向上」に資するようにすることが位置付けられました。また、国連の子どもの権利条約の精神にのっとって、子どもの利益を最優先に対策を推進することなども記されました。法改正を生かし、子どもをはじめ当事者らの意見を踏まえるなどして、切実な声と実情にかみあった新大綱をつくることが重要です。

 内閣府の有識者会議が7日にまとめた新大綱の施策の在り方についての文書も、法改正を受け、子どもの貧困対策の地域間格差をなくす取り組みなどを求めています。子育てや貧困を家庭だけの責任とせず、地域や社会全体で解決することの大切さも提起しています。安倍晋三政権は指摘を受け止め、施策を拡充すべきです。

暮らし応援の政策こそ

 安倍政権は、貧困解消を求める国民の願いに逆らい続けています。大企業のもうけを優先する安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、貧困と格差を広げています。生活保護費削減をはじめ相次ぐ社会保障破壊は、貧困世帯を苦境に追い込んでいます。10月からの消費税率10%への引き上げは低所得者の暮らしに打撃を与えます。子どもの貧困の解消にも逆行する消費税増税は中止しかありません。

 消費税に頼らず、大企業・大資産家に応分の負担を求めるなどして財源を確保し、家計の応援、社会保障や教育への支援を拡充する政策へ転換することが急務です。


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