2019年8月18日(日)
教科書通りの答えでなく
教育のつどい分科会 道徳教育を考える
子どもの人権・人間としての尊厳を守りたい、教育に憲法・子どもの権利条約を生かそう―。滋賀県で開かれている「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2019」は17日、分科会での2日間の討論が始まりました。
特設分科会「『道徳教育』のあり方を考える」で兵庫県の小学校教員の女性(59)は、子どもたちの中に浸透している序列主義的な考え方を、子どもたち自身で発見し、新しい関係を生みだす取り組みを模索していることを報告しました。
女性は、筆箱の中身までこと細かに定めた学校の「100の決まり」があり、その決まりを口実にしたいじめがあり、いじめられる側の声を封じ込めている実態を紹介しました。
自分の思いを言うことができない状況を題材にした道徳の授業で、言うことができない子どもの背景になにがあるのか問いかけると、子どもたちから「『身分』が高くていじめてくる人には言えない」との発言がありました。話し合う中で子どもたちは「身分が高い人というのは自分の言いたいことを言える人」「ルールを味方にできる人」というところまで考えを進めました。
女性は、「教科書通りに答えを与えるのではなく、教科書には書かれていない自分たちのリアルを書きこみながら、『正解』を壊していくことが求められているのでは」と語りました。
大東文化大の渡辺雅之教授は「(細かな校則のような)スタンダードは異質を認めず、排除することにつながる」と危険性を強調しました。