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2019年8月28日(水)

どうする放射性廃棄物

原発24基廃炉 見えぬ先行き

 東京電力が福島第2原発(福島県楢葉、富岡両町)全4基の廃炉を決定し、日本では福島第1原発を含め商業用原発24基の廃炉が進められることになります。原発の解体は海外では多数の実績がありますが、日本で商業用原発の解体が完了した例はありません。廃炉の先行きが見えない状況です。(松沼環)


写真

(写真)東京電力福島第2原発(本紙チャーター機から撮影)

 国内における廃炉作業の先行例が、1998年に商業用原発として日本で最初に閉鎖された日本原子力発電の東海原発(茨城県東海村)です。出力16・6万キロワットの炭酸ガス冷却型炉。当初、2011年度から原子炉領域の解体を開始し、18年度に完了する予定でした。計画は何度か延期され、いまだに解体に着手できていません。

●処分場決まらず

 原電は今年3月、計画の変更を発表し、原子炉の解体工事着手を24年度、終了時期を30年度としました。当初計画からは12年も遅れています。発表で原電は、解体工事で発生する廃棄物を収納する容器の仕様などの決定に時間を要すためとしています。実際は、解体後の放射性廃棄物の処分場が決まっていません。東海原発の廃炉計画には、廃棄物の廃棄先を確定できない場合、原子炉の解体撤去工程に着手せず、「計画を変更する」とあります。

 東海原発の廃炉で地中への埋設処分が必要な放射性廃棄物は、約2万7000トン出ると見込まれています。

 原電は、放射能レベルが低い「L3」と呼ばれる廃棄物について、東海村にある原電の敷地に素掘りで埋設を計画。規制委で審査中ですが、地元の市民団体などが反対を表明しています。それ以外の放射性廃棄物の処分は計画も示されていません。

 廃炉に伴う放射性廃棄物は「低レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、「L1」から「L3」の三つに区分されています。「低レベル」といっても、原子炉内の構造物など比較的放射能レベルの高い「L1」と呼ばれる廃棄物は、10万年以上は人が近づけないことが必要とされています。「L1」は、地下70メートルより深くに埋設し、300~400年の管理が必要です。日本では処分場のめどがまったく立っていません。

 東海原発のL3廃棄物をのぞくと、原発の廃炉計画で放射性廃棄物の具体的な処分計画が示されているものはありません。日本国内の福島第1原発1~4号機以外の全商業用原発を解体すると埋設処分が必要な放射性廃棄物は、約48万7000トン発生すると推定されています。

●場当たり的政策

 元日本原子力研究開発機構研究員の岩井孝さんは「処分地が見つからなければ解体に着手しないことは安全面から当然です。しかし仮にL1廃棄物の処分を300年間の管理を前提に民間企業がやるといっても誰も信用できないでしょう。原発は全部やめることを前提に、廃棄物の処分に国が責任を持たないと解決できないと思います。もちろん費用を明らかにして、事業者にしっかり負担させる仕組みが必要です」といいます。

 福島第2原発の4基の廃炉でも、5万トン超の放射性廃棄物が発生すると見積もられています。福島第1原発事故の収束、廃炉を抱え、今後、40年とされる廃炉作業が計画通り進むか、課題が山積しています。

 “トイレなきマンション”と呼ばれた使用済み核燃料の処分問題と同様に、場当たり的な原子力政策の矛盾が、廃炉でもいっそうあらわになっています。

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