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2019年8月30日(金)

口利き疑惑で上野厚労政務官辞任

真相究明・説明責任果たせ

 外国人労働者の在留資格取得をめぐる「口利き」疑惑で、自民党の上野宏史衆院議員が28日、厚生労働政務官を辞任しました。しかし、ことは安倍内閣の政務官としての疑惑であり、その中身も違法性の強いものです。役職辞任にとどまらず、国会議員としての資格が問われることは当然ですが、何より真相を究明すべきです。

 上野氏の口利き疑惑は、週刊誌の報道を受けて発覚したもの。生々しい音声データも公開されています。それによると、上野氏側は金銭を受け取ることを前提に、東京都内の人材派遣会社が在留資格を申請した外国人について法務省に問い合わせたといいます。

 上野氏は「誤解を招きかねないとのご指摘もある」「体調を崩し役所に出ることもままならない」などと辞任の理由を説明していますが、週刊誌報道については「法令に反する口利きをした事実はない」と否定するだけで、具体的な事実関係を一切説明していません。「誤解を招きかねない」というなら、報道について、少なくとも自ら根拠を示して説明するのが当然の行為です。

 政治家や秘書が官庁への口利きの見返りに金品を受け取る行為は、あっせん利得処罰法によって禁じられています。ましてや上野氏は、外国人労働者の技能実習制度の柔軟化について議論する厚労省の検討チームのトップを務めていました。カネによって政治をゆがめていたとなれば、外国人労働者の受け入れ拡大を進めてきた安倍政権の責任も問われることになります。

 安倍政権の閣僚全体に広がる「政治とカネ」をめぐる感覚マヒも重大問題です。

 昨年10月には、確定申告をめぐる片山さつき地方創生相の国税庁への口利き疑惑が発覚。2016年1月には、甘利明経済再生相(当時)が道路工事をめぐる補償交渉で口利き・金銭授受していたとして閣僚を辞任しました。ところが、こうした一連の疑惑に対し、安倍晋三首相は任命責任も取らず、真相解明にも背を向け続けています。

 「政治とカネ」をめぐる疑惑が続出する背景にある、こうした安倍政権の体質そのものも厳しく問われる必要があります。

 (佐藤高志)


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