2019年9月5日(木)
主張
丸山氏の戦争発言
無反省あらわ、議員辞職は当然
「NHKから国民を守る党」(N国)の丸山穂高衆院議員が先月末、竹島問題をめぐる日本の対応について、自身のツイッターに「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿しました。丸山氏が今年5月、国後島への「ビザなし交流」の訪問団団長に「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと詰め寄った言動について全く反省していないことを自ら証明したものです。戦争による領土問題の解決という暴論を再び平然と口にする丸山氏に、国会議員の資格がないことは言うまでもありません。
憲法、国連憲章に違反
丸山氏は先月31日、韓国国会議員の竹島上陸に日本政府が抗議したことに関し「竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね?戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」「朝鮮半島有事時を含め、『我が国固有の領土』において自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出すことを含めたあらゆる選択肢を排除すべきではないのでは?」とツイッターで発信しました。
憲法は、9条で国際紛争解決の手段として戦争の放棄をうたい、99条で閣僚や国会議員などの憲法尊重擁護義務を定めています。国連憲章も、戦争違法化の立場から加盟国に国際紛争の平和的手段による解決を求めています。
国際紛争である領土問題も、あくまで歴史的事実と国際法に基づき冷静な外交交渉によって解決が図られるべきです。
戦争をあおり立てようとする丸山氏の投稿は、憲法と国連憲章の極めて重要な原則を否定する最悪の発言です。
丸山氏は5月、国後島への「ビザなし交流」の訪問団に同行した際、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」と執拗(しつよう)に迫り、問題が発覚した後に謝罪・撤回していました。
議員辞職を求める世論が広がる中、衆院は丸山氏の糾弾決議を全会一致で可決しました。決議は、丸山氏の言動について「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し」たと非難しました。泥酔し、禁じられた外出を試みるなど一連の行為を含め「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」とし、「ただちに、自ら進退について判断するよう促す」と辞職を迫っていました。
今回、丸山氏がツイッターで行った発言はこの時の謝罪が全くの偽りであり、糾弾決議がされた自らの言動にも何の反省もないことをあからさまにするものです。
N国の責任も問われる
衆院から事実上の議員辞職勧告決議を突き付けられた丸山氏を入党させたN国の責任も厳しく問われます。丸山氏は、5月の「戦争」発言で、当時所属していた日本維新の会から除名されました。しかし、7月の参院選後、N国からの要請で入党していました。
同党の立花孝志党首は、丸山氏の発言を「表現の自由」「国会議員として当然の問題提起」などと全面的に擁護しています。丸山氏も自身への批判に対し「言論封殺の圧力には屈しない」と開き直り、反省のかけらもありません。
丸山氏がこれ以上、国会議員にとどまることが許されないのはあまりにも明らかです。