2019年9月22日(日)
主張
国連気候サミット
未来のための行動をいまこそ
各国首脳らが地球温暖化対策を議論する国連の気候行動サミットが23日、ニューヨークの国連本部で開かれます。温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」(2016年発効)の本格的な運用は20年と目前です。
しかし、現在の各国の温室効果ガス削減の目標では、パリ協定が掲げる世界の平均気温の上昇を2度未満とし、1・5度にという目標に届きません。危機的事態の打開を訴え、サミットを前に世界中で若者を中心に「グローバル気候マーチ」が行われました。パリ協定実現への真剣な行動が各国に迫られています。
「団結して危機止めよう」
気候行動サミット直前の金曜日の20日、163カ国で400万人以上が参加し、温暖化対策の強化を求める大規模な行動が広がりました。日本では23都道府県で5000人以上が参加しました。
ニューヨーク市では30万人以上が参加して、「なにがほしい? 気候に正義を」「いつほしい? 今だ」などと声を上げました。世界的な運動の火付け役になり「未来のための金曜日」の運動をはじめた、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)も参加し、「団結し、この危機を止めよう」「世界の指導者たちを動かそう。私たちならできる」と呼びかけました。
昨年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、パリ協定の目標達成のためには、温室効果ガスの排出を50年ごろまでに「実質ゼロ」にする必要があるとする「1・5度特別報告」を公表しました。各国政府の取り組みのいっそうの加速が求められています。
パリ協定離脱を表明した米トランプ政権は依然うしろ向きです。しかし、その下でも、多くの州政府が再生可能エネルギーの拡大策を展開しています。
国連のグテレス事務総長は、気候行動サミットに、50年までに排出量をゼロにするための具体的計画をもちよることを訴えてきました。欧州諸国は、排出量の削減目標の引き上げの検討など前向きの動きをみせています。
英国とカナダの主導で立ち上げた「脱石炭連盟」は現在、30カ国が参加しています。
こうしたなかで、安倍晋三政権の姿勢が厳しく問われています。日本は温暖化ガスの排出量を30年度に、13年比で26%減らす目標を掲げています。しかし、この目標自体がきわめて低いうえに、上積みしようという意欲が見られません。6月に閣議決定した「長期戦略」も世界の水準に届いていません。
温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電所の新増設計画などを持つ日本にたいし、国際社会から強い批判が集まっています。欧州諸国では期限を設けて全廃をめざしているのに、石炭火力発電を「ベースロード(基幹)電源」に位置づける逆行ぶりです。この姿勢では、世界にも、地球の未来にも責任は果たせません。
具体化の議論を深め
温暖化対策は文字通り待ったなしの世界的課題です。
日本でのかつてない豪雨や、欧州での記録的な熱波など世界的な異常気象は深刻さをましています。気候行動サミットでは、実効性ある対策に向けた行動を具体化するための議論が深まるかどうかが問われています。