2019年9月25日(水)
核なき世界 一人ひとりに役割ある
NGOが「国際デー」イベント
日本政府に批判 「自分事」にするには
核兵器廃絶日本NGО連絡会は23日、東京都内にある国連大学で、「核なき世界へ向けて―それって他人事?自分事?―」と題して「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」記念イベントを開催しました。
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主催者を代表して、反核法律家協会の大久保賢一さんが「核兵器は人がつくり出したものだから、なくすこともできる」と語り、全人類の問題として考えよう、と呼びかけました。
国連広報センターの佐藤桃子広報官は、核兵器保有国の軍備増強に警鐘を鳴らすとともに、「核なき世界に向けて国際的努力が行われていることにも注目してほしい」と語りました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の和田征子(まさこ)事務局次長は、被爆者は国家補償と核兵器廃絶を訴えて運動してきたと語るとともに、日本政府が核兵器禁止条約に参加していないことを批判し、政府や議員にはたらきかけていく決意を語りました。
外務省の軍縮不拡散・科学部長の久島直人さんが禁止条約について、「核保有国が参加していないことなどを理由にアプローチが違う」とこれまでの政府の立場を繰り返しました。
パネルディスカッションでは、ヒバクシャ国際署名のキャンペーンリーダーの林田光弘さん、元高校生平和大使でミュージカル「Signs!」に出演の布川仁美さん、日本被団協の和田征子さん、外務省の久島直人さん、東京大学の渡邉英徳さんがそれぞれの立場から発言しました。司会はフォトジャーナリストの安田菜津紀さん。
「自分事」にするためにどうするか―について、核兵器問題にかかわる役割が一人ひとりにあることを知らせることの大事さと難しさが語られました。
会場から埼玉県の高校生が発言し、広島・長崎と埼玉とのギャップがあることや、学校の教育環境により得られる情報に違いがあることについて、どうすればいいのか―と質問がだされました。
これに対してパネリストから、平和問題は広島や長崎だけの問題ではなく、1945年には多くの場所で空襲があったことが紹介され、地元の戦争跡地について調べることで、広島や長崎の原爆投下にたどりつくし平和問題を身近な問題としてとらえることができるようになるのではないか、との発言がされました。
またパネリストの意見交換では、外務省の久島さんに対して、次のような意見がだされました。
「禁止条約への参加について、期限を設けて迫っていないので、核兵器廃絶の目標が同じなら、賛同できるのでは?」「日本政府は、海外政府代表を広島・長崎に招待してほしい。原爆資料館に行くことで、核兵器の非人道性について共通認識になるのではないか」「調べてみると、日本の閣僚も長崎の原爆資料館には来ていないので、日本政府に対して呼びかけるとともに、外務省で原爆パネル展を開催させてほしい」などの意見が出されました。