2019年9月28日(土)
きょうの潮流
子どもの権利条約が国連で採択されてから、11月で30年になります。同条約は、子どもたちが自分たちにかかわるすべての事柄について意見を表明する権利を定めています。もちろん政治的なことについても発言する権利があります▼日本では文部科学大臣が、参院選の際に政治の話をしていたという高校生のツイートに「こうした行為は適切でしょうか?」などと、話し合うことさえ抑圧するような発言をしました。国際条約の水準から大きく遅れています▼採択30周年を前に、12カ国の子どもたちが条約に基づき「権利が侵害されている」と救済を申し立てました。世界の指導者が気候変動への対応を怠り、子どもの未来を奪っていると▼申し立てたのは国連気候行動サミットで演説したスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)ら16人です。条約ができて30年もたつのに、私たちの権利は守られていないではないかという訴えです▼未来の地球がどうなるかは、子どもたち、若者たちにとって命にかかわる問題。温暖化対策を求める権利を行使するのは当然です。グレタさんが始めた行動は若者の共感を呼び、20日には世界で400万人以上が行動に参加しました▼この点でも日本政府は国際的な課題に背を向けています。石炭火発の新設を進め、サミットでは発言の機会さえ与えられず、環境相は、温暖化対策は「セクシーであるべきだ」と不誠実な発言。グレタさんの言葉が刺さります。「未来の世代の目はみなさんに注がれています」