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2019年9月28日(土)

原発立地地域対策

地元有力者との癒着構造鮮明

関電役員への資金提供

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(写真)関西電力高浜原発。ドーム状屋根左は3号機、右は4号機=福井県高浜町

 福島第1原発事故が起きた2011年から7年間で役員ら20人に計3億2千万円―。関西電力経営陣らが福井県高浜町の元助役から多額の資金を受け取っていた問題。関電が原発再稼働を進める中、地元対策を立地地域の有力者に頼る癒着関係が近年も続いていたことが鮮明になりました。

 大阪市で27日に会見した岩根茂樹社長。「儀礼の範囲を超える部分はすでに返却した」と強調しました。しかし誰がどの時期に、いくら受け取ったかなどの核心に触れる質問には表情をゆがめ、「個人にかかわること」などとして回答を拒みました。

 高浜町には高浜原発(1~4号機)があります。同社長は、元助役を「原発立地町の有力者」と表現し、「地域の合意形成などの対応上、助言や協力をいただいた方」だと説明。「返却する意思はあったが、(元助役に)厳しい態度で拒まれた」「関係が悪化すると原子力の事業運営に悪影響が出るのではないかと思い、返却を逡巡(しゅんじゅん)した」とも述べました。

 関電側に資金を流していた森山栄治氏(今年3月に死亡)は1977~87年に高浜町助役を務め、退任後も町の都市計画審議会の委員に就くなどして町政に関わりました。

 関電は高浜原発1、2号機で原則40年の運転を延長し、再稼働を進めるためにも地元対策が欠かせません。

 同県小浜市在住で原発関連の情報誌を発行している男性(80)は「地元で森山氏は、核燃料税交付金などの原発マネーに関わる人として知られていた」と話します。

 会見によると、同社は昨年3月に、国税局がこの問題を調査していることを知り、同7~9月に自社内を調査。八木誠会長と同社長を含む複数名を処分したといいます。

 約1年にわたり事実を公表しなかった理由を問われると同社長は「(元助役に)対価を与えるような行為はなかった」「不適切だったが違法な行為はなかった」などと繰り返しました。

原発動かす資格ない

「原子力発電に反対する福井県民会議」共同代表委員 中嶌哲演さん

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 福島第1原発の事故が起こってなお、原発再稼働をめぐる不透明な「原発マネー」が関西電力経営陣らに還流していたとは―。ここまで企業倫理を失ってしまったかと思わざるを得ません。原発コスト増などで原子力産業が末期的症状に陥っているのを背景に起きた象徴的な出来事です。

 関電はいま運転開始40年を超えて老朽化した危険な高浜原発1、2号機などを再稼働しようと、莫大(ばくだい)な費用をかけて「安全対策」工事を続けています。本来は「安全対策」にかけるべき費用が一部でも還流した可能性もあり、手抜きにつながる重大な恐れもあります。

 資金提供は、企業倫理の喪失にとどまらず、原発の安全対策にも直結する以上、もはや関電に原発を動かす資格はありません。少なくとも高浜1、2号機の対策工事は即刻中止すべきです。


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