2019年10月9日(水)
米農産品に大幅市場開放
貿易協定署名 日本、一方的譲歩
【ワシントン=遠藤誠二】日米両政府は7日午後(日本時間8日未明)、ホワイトハウスで日米貿易協定とデジタル貿易協定に正式に署名しました。トランプ米大統領の立ち会いのもとで、杉山晋輔駐米大使とライトハイザー米通商代表が署名しました。貿易協定は、牛肉に対する関税を38・5%から最終的に9%にまで削減するなど、日本側が米農産品に対して大幅に市場を開放します。日本が輸出する自動車・同部品への関税の撤廃は見送られ、日本側が一方的に譲る内容です。
日米両政府は今後、協定が発効した後、協議の上、包括的な交渉を行うとしています。
トランプ大統領は、「協定は多くの雇用を生み出し、投資の拡大と貿易赤字の大幅削減につながる。農家と牧場主にとって大きな転換点だ」と述べ、来年の大統領選挙を意識して対日輸出拡大をアピールしました。ホワイトハウスも同日、「米国の農家にとって巨大な勝利だ」とする声明を発表しました。
貿易協定は全11条の本文と付属文書からなります。両国が国内手続きによる承認を通告した日の30日後に発効します。
トランプ政権は、議会承認を経ずに大統領権限で早期発効させる特例措置をとる見通しです。ライトハイザー通商代表は、来年1月1日の発効を示唆しています。
先月25日、国連総会出席のため訪米した安倍晋三首相はトランプ大統領と会談。両首脳は日米貿易協定の「最終合意」を確認し、共同声明に署名しました。
ホワイトハウスの声明は、牛肉、豚肉、鶏肉、小麦、チーズ、ワインなど約72億ドル(約7600億円)相当の米農産品が関税を撤廃または削減されるとし、「日本へ輸出する米農産品の90%以上が無税か特恵関税扱いとなる」と強調しました。