2019年10月17日(木)
論戦ハイライト 参院予算委
関電疑惑で井上議員
原発利権にメス入れよ
16日の参院予算委員会で、関西電力の「原発マネー」還流疑惑を取り上げた日本共産党の井上哲士議員。政府が「国策」として進めてきた原発推進政策と一体で、「原発マネー」が還流していた構図を浮き彫りにし、事実解明のための関電幹部の国会招致を求めました。
2011年の東京電力福島原発事故以降、原発再稼働反対の世論が広がるなか、政府は原発再稼働に固執し続けてきました。関電は16年に高浜原発3、4号機、18年に大飯原発3、4号機を再稼働。安倍政権下での再稼働9基のうち4基が関電の原発です。
井上氏は、原発再稼働にともなう追加的安全対策費は関電だけで1兆円を超え、関電が13年、15年度の2度にわたって電気料金を値上げしたことを指摘。一方、関電は16年以降、役員報酬を引き上げ(表)、再稼働のための安全対策工事に深くかかわった福井県高浜町の森山栄治元助役から3億2千万円の金品を受け取っていたとして、次のようにただしました。
井上 (関電幹部の)役員報酬は増えて、森山氏からの金品と2重に受け取っている。再稼働のための電気料金の値上げを認可したことで、このような事態が起こった。国の責任をどう考えるのか。
菅原一秀経産相 企業の報酬は一定の裁量が認められる。
国の責任については一切答えない政府に対し、委員会室からは「まるで関電の代弁者だな」とのヤジも。井上氏は「森山氏からの関電幹部への金品の提供は『一企業の金銭不祥事』などと矮小(わいしょう)化してはならない」として、「原発マネー」還流の構図を告発しました。
還流の構図は
井上氏は、福島原発事故を受けて、再稼働のための安全対策工事費の総額の見込みは増え続け、それにつれ、関電幹部への金品受領額も膨らんでいること(グラフ)を示し、「政府が『国策』として進めてきた原発推進政策と一体で『原発マネー』が還流した」と強調。さらに、国の電源立地地域対策交付金も、高浜町の建設会社「吉田開発」と森山氏を通じて関電幹部に還流した疑いがあることを告発しました。
高浜町の資料によると、吉田開発は15年~17年の3年間に同交付金を活用した公共事業5件を総額約4億5253万円で受注し、このうち少なくとも3億7140万円に同交付金が充てられていました。
井上氏は「吉田開発から森山氏へ提供されたという3億円の資金について、関電からの受注工事とともに、交付金による工事も原資になった疑いがある」として、次のようにただしました。
井上 こうした交付金による事業は関電の第三者委員会の調査対象になるか。
経産相 森山氏が還流したとされるお金も含め、すべて第三者委員会で調査する。
井上 徹底して調べてもらいたい。
原発利権の闇
さらに、井上氏は、関電の報告書には森山氏が「福井県議会、および国会議員に広い人脈を有していた」と書かれており、森山氏の関連会社が自民党の稲田朋美幹事長代行、世耕弘成参院幹事長に政治献金をしていたことを指摘。関西電力などの電力8社と関連会社、日本原子力発電、電気事業連合会は17年、稲田氏の政治資金パーティー券を計112万円分購入していたことも分かっているとして「政治家を含む原発利権の闇に徹底してメスを入れることが必要だ」と強調しました。
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