2019年10月24日(木)
老舗ラーメン店が消えた 増税廃業
消費税10% そば屋も「注文1/3」 中小小売店悲鳴
茨城・水戸
安倍晋三政権が強行した消費税率10%への大増税に、中小業者から悲鳴が上がっています。廃業や倒産に追い込まれる業者も少なくありません。暴走する「安倍政治」に、業者が押しつぶされようとしています。(清水渡、増田哲明)
水戸市内では、消費税増税を前に老舗のラーメン店が廃業し、地域に衝撃が広がりました。設備の不調などでつまずいたとき、廃業の「引き金」となったのが消費税増税でした。市内の商店街では、日を追うごとにシャッターを閉めた店舗が増えています。
そば屋を営む男性(60)は、前回と前々回の増税時は据え置いた価格を、今回は全品、50円値上げせざるを得ませんでした。「じわじわと増税の影響が出てきた。出前の注文は3分の1に減った」
増税前は天ぷらそば(800円)を頼んでいた人が、たぬきそば(650円)を食べるようになったといいます。たぬきそばから、かけそば(550円)に変え「揚げ玉をサービスしてくれ」という人も。「これからさらに影響が出てくるのでは」とため息をつきます。
増税分を自己負担する業者も少なくありません。別のそば屋の男性(76)は「値上げはおっかない」。
文房具店の男性(76)は、「1000円以上買うと1割引」など、工夫を重ねてきました。「客は1円でも安いところに行く。定価では売れない」
87年続く食堂の2代目の男性(70代)は「消費税で生活は厳しくなる一方だ」と話します。地域住民に愛された食堂でしたが、常連客も高齢化し、客足は遠のくばかり。年金は少なすぎて「死ぬまで仕事をやめられない」と漏らします。「病院には行けないし、入院もできない。高齢者施設にも入れない」
貯金底つき不安 東京・東久留米の洋品店
増税後に客が激減
東京・東久留米市の洋品店では10月以降、目に見えて客が減っています。1日に10人前後の来店がありましたが、いまでは3~4人程度。一人も来ない日もあります。
経営者の女性は「貯金も底をつきました。いつまで続けられるのか」と不安を隠せません。東久留米でお店を開いて18年、センスのいい洋服やアクセサリーが手頃な値段で購入できると評判のお店です。
女性は免税業者ですが、仕入れには消費税がかかります。安倍晋三政権が8%への消費税増税を強行したときも増税分を消費者に転嫁しませんでした。10%に消費税率が引き上げられて以降も、転嫁するつもりはないといいます。
女性は「洋服も好きだし、お客さんとのやり取りも大好きです。安倍政権は消費税増税で安心できる社会をつくるといいます。だったら小さなお店でも安心して営業を続けられるようにしてほしい」と話します。
経済低迷打開 「5%への減税」で家計応援こそ
東北の衣料品専門店の店長は、「消費税の引き上げにより、客は買い物に対してさらに慎重になると見ている」。東海のコンビニ店長からは、「小規模店では、キャッシュレスに対応しきれず、軽減税率の複雑さにともないわずらわしさのみ増えている」―。政府の景気ウオッチャー調査(8日発表)にも、現場から悲鳴が寄せられています。
安倍晋三政権は、わずか6年の間に、8%への増税、10%への増税という2度にわたる消費税増税を強行しました。合計13兆円もの大増税は中小企業の営業を直撃しています。2014年に安倍政権が強行した5%から8%への消費税率引き上げで、家計消費は増税前に比べ年20万円以上も落ち込みました。実質賃金は年15万円も落ち込んでいます。今回の10%への大増税は、失政に失政を重ねるものです。
日本共産党は、消費税が導入された当初から消費税廃止を掲げてきました。10%増税が強行されたもとで、景気・暮らしを回復するための緊急課題として、消費税率を5%に減税することを提起。長期にわたる日本経済の低迷を打開するためには、「5%への減税」という中小企業と家計を応援する希望あるメッセージを実行することが求められています。