2019年10月24日(木)
牛肉輸入制限が無力化
日米貿易協定 穀田議員に政府認める
衆院外務委
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日本共産党の穀田恵二議員は23日の衆院外務委員会で、米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)における牛肉の緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)がすでに発動しにくくなっているからくりを明らかにし、日米貿易協定の発効で一層「無力化」することを告発しました。内閣官房の渋谷和久政策調整統括官は、穀田氏の話も「否定しているわけでない」と認めました。TPPで想定した以上の数量の牛肉が、低関税で流入する危険性が浮き彫りになりました。
セーフガードは、国内の畜産農家に重大な損害を及ぼす数量の輸入があった場合に、関税を緊急に引き上げる措置。穀田氏は、現在のTPP11のセーフガードの発動基準数量が、米国のTPP交渉離脱前に合意したもので、米国分の輸入量を含むと指摘。TPP参加国にとっては輸入数量の上限が高くなったことを意味し「セーフガードが事実上発動しない状態にあるのではないか」と迫りました。渋谷統括官は与党の会合で「現時点では事実上、SGが効かないと認めた」との報道(日本農業新聞3日付)を含め、これを否定しませんでした。
穀田氏は日米貿易協定の発効により、「米国分を含んだTPPと米国向けに新設される発動基準数量が併存し、TPPを超える影響が出る」と追及。さらに日米貿易協定の交換公文では、牛肉のセーフガードが発動された場合、日米両国が「発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」と明記していることを示し、「事実上、セーフガードを無力化するものだ」と批判しました。