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2019年10月26日(土)

主張

菅原経産相の辞任

首相の任命責任こそ問われる

 地元選挙区でメロンやカニなどを配ったことや公設秘書が香典を届けたことが週刊誌で報じられ、公職選挙法違反疑惑が批判されてきた菅原一秀経済産業相が辞任しました。9月の安倍晋三政権の内閣改造で就任してからわずか1カ月余りです。2012年12月に発足した第2次安倍政権以降、9人目の閣僚辞任です。

 菅原氏は「私の問題で国会が停滞し、法案審議ができないことは本意ではない」と言いましたが、公選法違反疑惑については否定しています。引き続き菅原氏の疑惑をただすとともに、首相の任命責任を追及することが重要です。

閣僚辞任だけではすまぬ

 公職選挙法は、国会議員やその候補者が選挙区内で金銭や物品を配ることを、買収の罪に当たるとして厳しく禁じています(221条)。たとえ葬儀の香典でも、議員本人が出席して手渡す場合を除いて禁止しています。

 菅原氏の大臣就任後、同氏の公選法違反疑惑を取り上げたのは、『週刊文春』10月17日号です。それによれば、菅原氏は07年ごろから盆暮れが近づくと、選挙区(衆院東京9区=練馬区の一部)内の支援者や自民党内の有力者に、高級メロンやカニ、いくらなどを秘書に配らせていました。それ以外にも年の初めには町内の新年会に、年末には消防団分団の夜回りなどに、秘書が届け物をしていたといいます。同誌は、メロンを買った際の領収書や、受け取った側の礼状なども報じました。こうした疑惑は、国会でも追及されましたが、菅原氏は「調査する」というだけで言い逃れに終始しました。

 さらに24日発売の同誌31日号では、菅原氏の公設秘書が17日、選挙区内の支援者の通夜で、「衆議院議員 菅原一秀」と表書きした2万円入りの香典袋を手渡したことを写真付きで掲載しました。公選法違反が国会で大問題になっているさなかの露骨な行為は、もはや釈明の余地はありません。

 菅原氏の閣僚辞任は当然です。しかし、菅原氏の辞任の理由は国会審議に影響があるということで、秘書が香典を渡したのは、当日本人が行けなかったからで、自分が翌日行って香典を渡し、秘書が渡した分は返してもらったととってつけた言い訳をし、公選法違反の責任は「よく確認したい」というだけでした。25日予定されていた衆院の経済産業委での追及を免れるためでもあったのは明らかです。

 公選法を守らない菅原氏には、国会議員としての資格もありません。速やかに説明責任を果たし、議員も辞職すべきです。菅原氏の辞任について安倍首相は、「任命責任は私にある」と言いましたが、菅原氏に真相をただすとは言いません。いくら「任命責任」を口にしても説得力はありません。

解明へ国会の役割が重要

 安倍政権で「政治とカネ」の問題で閣僚などの辞任が後を絶たないのは、首相自身が、国有地を格安の価格で払い下げた「森友学園」疑惑や、首相の長年の友人が理事長の「加計学園」疑惑などで責任を果たしてこないことと無関係ではありません。任命した菅原氏に説明させるだけでなく、首相自らも姿勢を改めるべきです。

 菅原氏の公選法違反疑惑をはじめ、安倍政権の一連の疑惑解明に向けた、国会の役割が重要になっています。


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