2019年11月16日(土)
日米貿易協定・デジタル貿易協定承認案
穀田議員の反対討論(要旨)
衆院外務委
日本共産党の穀田恵二議員が15日の衆院外務委員会で行った日米貿易協定・デジタル貿易協定承認案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
政府は、野党が求めた審議の前提となる資料の提出を拒み続け、外務省作成の協定の説明書でも意図的・作為的に重要な文言を削除し配布するなど、国会軽視・国民無視の姿勢を露骨に示してきました。それにもかかわらず、質疑を終局し採決を行うなど言語道断であり、絶対に許されないことです。
日米貿易協定は、わずか5カ月という前代未聞のスピードで、交渉内容も経過も国会や国民に一切秘匿したまま合意されました。TPP11(米国を除く環太平洋連携協定)、日欧EPA(経済連携協定)に加えて日本側の関税・非関税措置を縮小させ、農産物の市場開放・自由化を一層もたらすものです。
安倍晋三首相は本協定を日米双方にとって「ウィンウィン」の中身になったと誇示しています。その実態は、日本が米国産の農産物で「72億ドル(約7800億円)分の関税を撤廃・削減する」と認める一方で、米国は日本製自動車や同部品の関税撤廃を見送るなど、日本の一方的な譲歩であることは明白です。
政府は本協定が「TPPの範囲内」に収まったと主張しますが、TPPはもともと輸出大国や多国籍企業の利益を最優先し、際限のない市場開放を推進するもので、TPP水準でも大問題です。しかも本協定は、米国産牛肉の関税率を協定発効時にTPP参加国と同じ税率まで引き下げ、米国向けのセーフガード(緊急輸入制限措置)を新設し、低関税での輸入枠を実質的に拡大するなど、米国を特別扱いする「TPP超え」は明らかです。
政府は、本協定で「実質GDP(国内総生産)を約0・8%押し上げる」としていますが、この試算は継続協議となった日本製自動車や同部品の関税撤廃を見込んだ架空の計算です。そうした試算でも国内農産物の生産額が最大1100億円減少すると見込まれており、本協定が日本の農林水産業を衰退させ、食の安全を脅かし、食料自給率をさらに低下させることは必至です。
日米共同声明は、本協定の発効後、「関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁」などで「交渉を開始する」としており、文字通り日米FTA(自由貿易協定)につながるものです。日米デジタル貿易協定はその先取りであり、独占的利益を追求する米国のIT(情報技術)企業を保護する協定にほかなりません。食料主権、経済主権を破壊する両協定の国会承認は、断じて認められません。日米FTA交渉は直ちに中止すべきです。