2019年11月16日(土)
「桜を見る会」招待者名簿
「廃棄1年未満ありえぬ」
元担当官僚が本紙に証言
首相主催の「桜を見る会」に安倍晋三首相が地元後援者を招待していた問題で、かつて政府の事務局を担当していた元官僚が本紙に「(招待者の)名簿を1年未満に廃棄することはありえない」と証言しました。(丹田智之)
この元官僚は、小渕恵三内閣(1998~2000年)時代、当時の総理府(内閣府の前身)で「桜を見る会」を担当していました。
「名簿は少なくとも数年は残していました。同じ人を2年、3年連続で招待することがないようにするためです。人数は前年の実績が指標になるので、名簿を1年未満で廃棄することはありえない」と証言します。
招待者の取りまとめは、当時から官房人事課が担当。同課の職員が、同じ人に複数の招待状が送られることがないように名簿を繰り返しチェックしていたといいます。
安倍首相は8日の参院予算委員会で招待者について、日本共産党の田村智子議員の追及に、「地元で自治会、PTA等で役員をされた方もいる」と答弁しています。この元官僚は「小学校のPTA役員くらいの人を招待することはありえません」と指摘します。
「桜を見る会」の名簿には、各省庁が作成する「推薦者名簿」と内閣府が同名簿をもとに招待者を取りまとめる際に作成する「招待者名簿」の2種類があります。
内閣府は国会答弁で、招待者名簿を「会の終了後、速やかに廃棄している」(大塚幸寛大臣官房長)と繰り返し述べています。
14日の野党合同ヒアリングでは、内閣府の担当者が「18年4月に(招待者名簿の)保存期間を『1年』から『1年未満』に変えた」「今年の名簿は5月9日に廃棄した」との趣旨の説明をしました。
元官僚は「保存期間の変更には不自然さがあります。電子媒体に保存すれば、保管のスペースを心配することもありません。隠蔽(いんぺい)の意図があったと疑われる」と指摘しています。