2019年11月22日(金)
主張
桜を見る会私物化
首相の言い逃れは通用しない
税金で賄う公的行事「桜を見る会」を安倍晋三首相が地元後援会のために利用していた私物化疑惑は、重大な広がりを見せています。政府は、招待者を推薦する首相枠は約1000人、自民党関係者枠は約6000人などと明らかにしました。首相の妻・昭恵氏推薦の招待者もいました。「桜を見る会」が首相や自民党の支援者をもてなす一大行事にされていたことは明白です。首相は招待者推薦の際に意見を述べたと認めました。取りまとめに関与していないとした答弁(8日)はもはや成り立ちません。首相は言い逃れはやめて、全容を隠さず語るべきです。
首相推薦は約1000人
「桜を見る会」疑惑は、首相の「税金私物化」に対する国民の批判の広がりや、野党の結束した国会での追及の中で、安倍政権のごまかしの説明が破綻する状況に追い込まれつつあります。
招待者の推薦枠の内訳(2019年分)は、衆院内閣委員会(20日)で日本共産党の宮本徹議員の質問に菅義偉官房長官が答えたものです。首相枠や自民党関係者枠の他、副総理や官房長官らの推薦枠を合わせると約8000人になり、全体の招待者約1万5000人の半数以上にのぼります。政府が「森友学園」疑惑の際、「私人」と閣議決定(17年)した昭恵氏からの推薦が認められたというのは、悪質極まる公私混同です。自民党枠では、改選を控えた参院議員を優遇する案内状が出されたことも判明しました。各界功労者を招くのを目的とした公的行事の姿から、かけ離れた私物化の実態がいよいよ浮き彫りになっています。
約10日前、「招待者の取りまとめ等には関与していない」と答弁した安倍首相は20日の参院本会議で「事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と答弁を変えました。しかし、首相は「最終的な取りまとめ等には一切関与していない」と言い張り、虚偽答弁をしたと認めません。首相の推薦者が招待者から外されることがあるとでもいうのか。言い繕いは通用しません。
安倍晋三後援会主催で都内のホテルで行われた「桜を見る会」前夜祭も不可解さが際立ちます。会費が1人5000円と不自然に安いことについて首相は当初、参加者の大多数がホテル宿泊者だったからと正当化していました。
ところが15年は前夜祭会場のホテルに泊まった参加者が少なかった事実が発覚すると、首相は夕食を予定したホテルで準備ができず急きょ別ホテルに会場変更したなどと言い訳を始めました。説得力はありません。後援会主催としながら首相の政治団体などに前夜祭関係の収支の記載がない点も解明が必要です。公職選挙法違反などの疑念は尽きません。
衆参の予算委に出席せよ
今年5月、「桜を見る会」問題を国会で取り上げるために宮本議員が政府に資料要求をした当日に、内閣府が「招待者名簿」をシュレッダーにかけて廃棄したことは、あからさまな隠ぺい工作です。公文書を改ざん・隠ぺい・廃棄し批判を浴びた「森友」問題や「加計」問題への反省は全くありません。
安倍首相の一方的な説明に、国民は納得していません。一問一答で質疑が行われる衆参の予算委員会への首相出席は絶対に必要です。逃げ回ることは許されません。