2019年11月30日(土)
主張
18年政治資金報告
大企業依存と税金頼みでなく
総務相に届け出された2018年分の政党や政治団体の政治資金収支報告が公表されました。18年は国政選挙がなかった年で、すべての政党や政治団体を合わせた収入総額は2・5%増加、支出総額は12・8%減少しています。日本共産党が党費や個人献金、機関紙誌などの事業収入で財政を賄っているのに比べ、自民党は企業・団体からの献金と税金で賄う政党助成金に依存しています。営利が目的の企業からの献金に頼る政党に、国民本位の政治が期待できないのは明白です。
政党の姿を映す鏡として
政党などの政治資金は、その党の姿を映す鏡だといわれます。政治資金収支報告は、政治資金規正法にもとづき、政党や議員などの政治活動が「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」(第1条)、毎年提出が求められているものです。
18年の総務相に届け出された報告書のうち、政党本部の収入の構成をみると、日本共産党中央委員会は、「しんぶん赤旗」などの発行による事業収入が85・3%のほか党費や個人献金が中心です。これに対し、最も収入が多かった自由民主党本部は企業・団体献金が1割近く、税金で賄われる政党助成金が66・5%となっており、違いは明らかです。
もともと参政権がなく営利が目的の企業の献金は、「見返り」を求める金権・腐敗政治の温床です。税金で賄われる政党助成金も、思想・信条に関わりなく国民に負担を押し付ける違憲の制度です。
企業・団体献金をめぐっては、直接企業が献金したのではあまりにも問題が多いと批判を受け、かつては日本経済団体連合会(経団連)が「あっせん」という形でごまかして企業に献金額を割り当て、自民党の政治資金団体・国民政治協会を通じて献金していました。1970年代の田中角栄政権のころから「金権選挙」への批判が高まり、ゼネコン汚職やリクルート事件などの金権腐敗事件も相次いで、経団連もいったん「あっせん」方式の中止に追い込まれました。
しかし中止から10年後の04年に、当時の奥田碩経団連会長・トヨタ会長が「政策評価」を出して企業に献金を呼びかける形で関与を復活させ、現在に至っています。「政策評価」というのは、財界に都合のいい自民党の政策を高く評価して献金を呼びかける、事実上の「政策買収」です。この秋発表された「政策評価2019」も、消費税率を10%に引き上げたことや大企業向けの研究開発税制を改組・拡充したなどと、自民党の政策を高く“採点”しています。
年々増加する企業献金
12年に安倍晋三氏が首相に復帰し、14年に当時の榊原定征経団連会長・東レ会長が「政治との連携強化」を表明してから、企業・団体献金は年々増加し18年の国民政治協会の収入は30億円近くに上ります。政治資金集めの「パーティー券」などの隠れ献金や、公益企業の電力会社の役員名義などの献金もあり、実際はさらに巨額です。
安倍政権の下では「政治とカネ」をめぐる疑惑で閣僚辞任が続発し、「桜を見る会」をめぐっては首相の政治団体の収支記載に大きな疑いが持たれています。
戦後最悪の安倍政権に立ち向かい、疑惑だらけの政権を終わらせることが重要です。