しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年12月3日(火)

参院本会議での田村議員の質問

 日本共産党の田村智子議員が2日の参院本会議で行った、2018年度決算についての質問は以下の通りです。


写真

(写真)質問する田村智子議員=2日、参院本会議

予算の大幅超過

 「桜を見る会」が大問題になった始まりは、支出額が予算の3倍にも膨れあがったことにあります。首相は、予算の大幅超過をいつ認識しましたか。知っていながら、なおも支出を増やし続けたのですか。

 しかも結果的に予算を超えてしまったのではありません。本決算の2018年は、ケータリング2136万円、これだけで「桜を見る会」全体の予算1778万円を大きく超えています。しかも契約は、予算成立の5日後、予算審議中にその準備を進めていたのです。これは国会をあざむく行為ではありませんか。

 憲法は、内閣に、国会へ予算を提出し、審議と議決を経たうえで支出することを義務づけています。予算審議中に、提案した額を上回る歳出を準備する。しかも毎年、予算超過を拡大させる。このように憲法が定める財政民主主義を無視したやり方が、なぜ許されていたのでしょうか。「首相主催」の行事は、憲法さえも超越するのですか。明確な答弁を求めます。

首相の推薦枠は

 11月8日の予算委員会以降、安倍晋三事務所が作成・配布した文書が次々と明らかとなり、菅義偉官房長官は、首相などからの推薦の仕組みがあることを認め、20日の本会議で首相も「私自身も事務所から相談を受ければ推薦者についての意見を言うこともありました」と答弁した。つまりは、首相からの推薦・招待の仕組みを、安倍首相は前々からご存じだったのではありませんか。

 それなのになぜ、予算委員会で、私の指摘を事実であると認めなかったのですか。私は、「首相は招待者のとりまとめをしていますか」とは、一言も聞いていません。安倍事務所が参加者を募り、首相の地元後援会員を招待しているかと、繰り返しただしたのです。これを認めなかったことは、まさに偽り、ごまかしの答弁そのものではありませんか。質問をすり替えることなくお答えいただきたい。

 予算委員会理事懇談会に提出された資料により、各省庁からの推薦者数には、ほとんど変動がないことがわかりました。首相をはじめとする自民党からの推薦者が増え続け、1万8000人もの参加者となった。このことを認めますか。

後援会員を招待

 「桜を見る会」は、招待がなければ参加できません。新宿御苑を貸し切り、禁止されている飲酒も特別に認められ、無料で飲食物が提供され、お土産が配られる。首相と特別に記念撮影ができる。このような場に、首相の選挙区をはじめ、自民党の後援会を大勢招待する。その目的・意図はなんでしょうか。

 11月15日の会見で、「自分は安倍総理の選挙等を支えてきているから、その貢献で選ばれたと思うという方がいらっしゃった」という記者の問いに、首相は「確かにそう思われる方もおられると思います」と答えています。また今年は、直後の参議院選挙で改選となる議員に多くの招待状が配分されたことを、世耕弘成参院幹事長が認めています。自民党の選挙への貢献に感謝し、次の選挙でも支持を広げてくれることを期待し、後援会の招待を拡大してきたのではありませんか。

 公職選挙法は、自らの当選だけでなく、第三者に当選を得させようとして、金銭・物品その他の供与、供応接待することを買収行為として禁じています。首相、「桜を見る会」であなたと自民党がやってきたことは、まさに税金をつかった事実上の買収行為ではありませんか。

 首相は、「招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れあがってしまった」と言いますが、内閣府が省庁に示した推薦の基準は、勲章・表彰を受けた方、ボランティアや被災地の復興に尽力した方など明確です。一方、安倍事務所の参加申込書には社会的な功績・功労を示す記入欄はありません。どのような基準で推薦名簿をとりまとめたのでしょうか。安倍事務所に申し込めば、すべての招待状が届く仕組みだったのではありませんか。

 また、昭恵夫人が関わったイベントや団体の方からは「名刺交換をしたら毎年招待状が届くようになった」という発言が多数確認できます。総理や昭恵夫人からの直接の推薦者もあったと推測されますが、いかがですか。

推薦千人の根拠

 菅官房長官は「総理からの推薦約1000人」と国会で答弁しましたが、この根拠は極めて薄弱です。官邸総理室がとりまとめた招待者は何千人になるのか、首相の責任で明らかにしていただきたい。答弁を求めます。

悪徳マルチ商法

 悪徳マルチ商法で高齢者を食いものにし、その財産を奪い取ったジャパンライフの会長が、2015年「桜を見る会」に招待されたことは極めて重大です。ジャパンライフの資料には、招待状の受付票に「60」という招待区分番号が記されています。内閣府は、招待区分「60~63」が「総理・長官等の推薦者」であることをやっと認めました。首相、「60」は官邸総理室がとりまとめた「総理の推薦者」ではないですか。ジャパンライフの会長は、首相もしくは首相関係者によって招待されたのではありませんか。

 11月29日の「桜を見る会 野党追及推進本部」では、被害者の肉声が公表されました。「安倍総理から招待されるのはすごいことだ、偉い会社だと、安心して貯金も生命保険も言われるままにつぎ込んだ。15歳から働いて蓄えた財産をすべて失ってしまった」。同日、大門実紀史議員は国会質疑で、ジャパンライフが計画的破綻を視野に、最後の荒稼ぎをしようとした時期に招待状が届いたことを明らかにしました。首相が、ジャパンライフを信用させ、悪徳商法の被害を拡大する役割を果たしたのです。この責任をどうとるつもりか。

 14年、ジャパンライフへの厳格な立ち入り調査が行われる方針だった。ところが行政指導にとどまった。その理由として大門議員が入手した内部文書には、「政治的背景を懸念し」と書かれています。被害者7000人、被害総額2000億円、これほど被害が拡大したのはなぜか。「政治的背景」とは何か。徹底的な真相究明が必要であることを厳しく指摘しておきます。

 招待の実態をただすと、内閣府は「名簿を廃棄したのでわからない」との説明を繰り返しています。

データ復元せよ

 今年の名簿は、宮本徹衆院議員が資料要求した1時間後にシュレッダーにかけた。各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、内閣官房にあるはずの「総理・長官等の推薦者」「与党による推薦者」の名簿だけが廃棄された。これが事実ならば、安倍政権のもとで、内閣府と内閣官房は、公文書のまともな取り扱いさえできない行政府になりはてた、ということではありませんか。

 反社会的勢力が招待されたのかという事実確認さえ、「できない」で終わらせることは許されません。やましいところがないならば、首相の責任で電子データを復元させ、全ての名簿を明らかにすべきです。

 国立公文書館には、「桜を見る会」の文書が多数保存されています。岸信介内閣時代の名簿は永久保存です。1957年の名簿は、戦後の引き揚げ者、戦後の復興への功績・功労者として、招待者の名前がすべて開示されています。政府がどのような考え方で、どのような施策を行ったのか、後世においても検証できるよう、国民の財産として公文書を保管する。自民党政権のもとでもこうした歴史と伝統、政府としての矜恃(きょうじ)は受け継がれてきたはずです。

 安倍政権の7年間で、公文書が、隠され、改ざんされ、廃棄される。官僚の答弁は、総理をかばうために矛盾に矛盾を重ねる。こんなことがどれだけ繰り返されてきたか。いつまでこんなことを繰り返すつもりなのか。日本の民主主義が壊されていくことを黙認などできるはずがありません。当たり前の公正な政治を取り戻すために、心ある皆さん全てと力を合わせる決意を述べ質問を終わります。


pageup