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2019年12月13日(金)

国のビキニ資料隠し否定

国賠控訴審 元漁民らの訴え棄却

高松高裁

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(写真)高松高裁前で「不当判決」ののぼりを掲げる原告ら=12日

 米国のビキニ環礁水爆実験(1954年)で被ばくさせられた第五福竜丸以外のマグロ漁船員が、その事実を示す文書・資料を隠し続け被災者救済を行ってこなかった日本政府の国家的犯罪を問うビキニ国家賠償訴訟控訴審の判決が12日、高松高裁であり、増田隆久裁判長は、原告側の主張を棄却しました。

 原告らはこの裁判の中で亡くなった被ばく漁船員の遺影を手に「不当判決」ののぼりを高裁前に掲げました。

 判決後に高松市内で開いた報告集会で、梶原守光弁護士は、次のように語りました。

 「国家権力による大量の人権侵害事件です。豊富な資料と証拠で立証してきましたが、判決は『適格な証拠は見当たらない』として国が被災資料を隠したことを否定している。ビキニ国賠訴訟を支援する太平洋支援センター事務局長の山下正寿さんらの追及で厚生労働省に文書を開示させたことさえ、“隠す意図がなかった証拠だ”としたのは常識からみてもおかしい。裁判所は国を裁くことから逃げた。“司法の独立、人権のとりではどこに行く”という思いです」

 元「ひめ丸」乗組員で判決直前に亡くなった原告団長の増本和馬さんの妻・美保さんは「夫は『司法は国民を何と思っているのか』と言ったはず。日本に三権分立があるのですか。裁判所はどこを向いて判決を書いているのか。悔しい思いです」と語りました。

 元マグロ船「第七大丸」通信士・大黒藤兵衛さんの長女で遺族原告の下本節子さんは、「私は福島第1原発事故をきっかけに原告になりました。判決を聞き、日本という国は本当に放射能被害に向き合わないと思った」と語りました。


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