2019年12月14日(土)
「桜を見る会」 首相に直結、数々の違法疑惑
野党による首相主催「桜を見る会」疑惑の追及が続いています。公的行事の私物化、国会での虚偽答弁、資料の廃棄・隠ぺいなど、数々の問題が指摘されています。重大なのは、安倍晋三首相に直結する違法行為の疑惑が多数あるということです。
政治資金規正法 公職選挙法
まず、政治資金規正法違反、公職選挙法違反が問われている問題です。
政治資金規正法は、政治団体に収入や支出があった場合、政治資金収支報告書への記載を義務付けています。収支があっても報告しなかったら「不記載」で同法違反となります。
安倍首相の後援会は2013年から毎年、「桜を見る会」の前日に東京都内のホテルで地元支援者らを招いた「前夜祭(夕食会)」を開催しています。
今年の「前夜祭」について安倍首相は参加者約800人で、会費1人5000円はホテル側が設定したと説明。「ホテルの会場入り口の受付で安倍事務所の職員が集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に集金したすべての現金をホテル側に渡した」と説明しています。
しかし、「前夜祭」を主催し、会費を集めてホテル側に渡したのは首相の政治団体。政治資金規正法で規定した収支が発生しますが、後援会を含む安倍首相の関連政治団体すべての政治資金収支報告書にはこの「前夜祭」の記載がないのです。
野党の調査で、「前夜祭」が開かれたホテルの立食パーティーの会費相場は「1人1万1000円から」となっています。安倍首相のいう「会費5000円」との差額をホテル側が値引きをしていれば、ホテル側から後援会側への「財産上の利益供与」に当たり、政党・政党支部以外への企業献金を禁じた政治資金規正法違反となります。
公職選挙法との関係では、「前夜祭」で集めた会費と実際かかった経費との不足分を首相側が負担していたら、選挙区内の有権者に対する寄付行為を禁じた同法違反となります。
同じことは、「桜を見る会」そのものでもいえます。税金を使った公的行事に、安倍首相をはじめ自民党議員らが自らの選挙区の後援会関係者を招待し、もてなしていることが明らかになっており、公選法で禁じる買収にあたるとの指摘もあります。
公文書管理法 財政法
安倍政権は、野党が要求する「桜を見る会」の招待者名簿などの資料を国会に提出することを拒み、「招待者名簿」など廃棄されたとされる資料のバックアップデータの復元すら拒んでいます。
公文書管理法はその目的として、「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」を挙げています。安倍政権による資料の廃棄・隠ぺいが、公文書管理法違反に問われる可能性も指摘されています。
「桜を見る会」は、「功績、功労のある方々を招待して慰労」することを目的として開催されています。
しかし、実際には安倍首相の地元後援会員が多数招待され参加し、その上、反社会的勢力の参加や悪徳マルチ企業関係者の招待などが明らかになりました。
「功績、功労者の慰労」という目的を逸脱し、自らの後援会行事として公的行事を私物化していた安倍首相。予算の目的外使用として、財政法違反が問われる可能性もあります。