2019年12月16日(月)
関電疑惑 年内報告困難
第三者委「奥深い問題」
関電本社で会見
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関西電力幹部らに福井県高浜町の元助役が多額の金品を提供していた「原発マネー還流疑惑」で、同社が設置した社外弁護士でつくる第三者委員会が15日、大阪市の関電本社で会見しました。委員長を務める元検事総長の但木敬一弁護士は年内の最終報告公表は困難と表明。「調査を進める中、奥深い問題が出てきてまだ手数がかかる」と述べ、関電が10月に公表した社内調査の内容以上に問題が広がっているとの認識を示しました。
会見によると、同委員会は但木氏ら4人の委員の下に弁護士約20人の事務局を置いて調査中。これまで100人を超える関電社員や役員らから聞き取りをしたほか、約600人を対象に書面調査をしたといいます。
関電の社内調査は、前会長や社長を中心に3億円以上相当の金品の授受があったことを明らかにしました。しかし、聞き取りの大部分を会社側がしていたことや、高浜町の森山栄治元助役(故人)が顧問を務めたとされる建設業者を調査対象としなかったことなどが批判されていました。
但木氏は第三者委員会の最終報告の時期について「正直、約束できない。個別事案の解明を重ねれば答えに結び付くと思っていたが、進めるともっと広がりがあると感じるようになった」「大きな問題がからんでいるという気がする」と述べました。
金品の授受と、森山氏の関連企業が関電から受注した工事の関係について質問されると、「まさに問題意識をもって調査して論議している」と発言。森山氏のほかに類似事案があったかどうかや背景の構造についての質問にも「議論のホットなところだ」と言及するなど、委員の関心がうかがえるやり取りもありました。
「調査の結果、明らかな不正が確認された場合は」との質問には、「結果として刑事罰に相当するものがあれば、報告書にそう書かざるを得ない。でないと第三者委員会の使命とずれる」と述べました。